ロタウィルスワクチン(ロタリックス内服液)

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Q1)有効な治療法がなく感染力が強いロタウイルスに対して、他国ではどのような対策をとっているのでしょうか。
堤)先進国、発展途上国を問わず、世界120ヶ国以上でワクチンを用いて、感染症の重症化を防止しています。乳幼児の罹患は本人のつらさは言うまでもありませんが、家族内感染の危険があり、看護のために保護者が数日間仕事を休まなくてはならないといった経済的な損失も伴うため、保護者の負担は大きくなります。有効な治療法がなく対症療法を行うしかない現状では、わが国でもワクチンの承認が待たれるところです。

(/Double Smile 創刊号/編集幹事 堤 裕幸/メディカルレビュー社 デジタル編集企画部発行/札幌医科大学医学部小児科学講座教授 堤 裕幸 先生) 
世界におけるロタウィルス感染症対策 「予防できる病気は予防する」は世界の常識
 ロタウィルス感染症による重症の下痢症は、発展途上国における乳幼児死亡の大きな原因となっている。Naghipouurらによる報告では、2004年の5歳未満の児の死亡数をみると、インド、ナイジェリア、コンゴ、エチオピア、中国、パキスタン、アフガニスタン、バングラデイシュ、インドネシア、アンゴラ、ニジェールに集中し、この11ヶ国だけで34万5千人にも達していた。この数は実に、世界死亡総数の65%以上である。
 しかし、先進国における乳幼児の重症下痢症の原因にロタウィルス感染が占める割合が高いことから、衛生状態のよい環境であっても経口感染を十分に防ぐことはできず、罹患(りかん)は免(まぬが)れない状況であることがよくわかる。
 そうしたことから重症化防止ほ目的としたワクチンが複数開発され、現在120ヶ国以上の国で認可されている。なかでもアメリカ、ベルギー、ルクセンブルグ、オーストリア、ブラジル、メキシコ、ベネズエラ、ニカラグア、エルサルバトル、パナマ、オーストラリアなど20ヶ国以上の国では、公費によりワクチンを乳幼児の定期接種に組み込み普及を図(はか)っている。

(/Double Smile 創刊号/編集幹事 堤 裕幸/メディカルレビュー社 デジタル編集企画部発行/札幌医科大学医学部小児科学講座教授 堤 裕幸 先生)
ロタリックス内服液の使用法
1)対象年齢:生後6週〜24週
2)受け方:2回目の接種は、1回目の接種から4週間以上あけてください。
3)費用
4)効果:本剤は、G1P、G2P、G3P、G4PとG9Pに対する効果が示唆されている。他のウィルスに起因する胃腸炎を予防することはできない。
 ※ヨーロッパの小児ロタウィルス腸炎に罹患した3,507例の調査では、ワクチンに含まれるG1(32.8%)、G2(3.6%)、G3(9.2%)、G4(14.3%)とG9型(38.8%)と合計98%以上でした。

 2回接種すると、重症ロタウィルス胃腸炎の発症を91.6%予防しました。
 ※生後6週〜14週の乳児(評価対象はロタリックス群498名、プラセーボ群250名)

 入院回数を89%、外来受診回数を72%、胃腸炎発症を59%減少させる。それに親の労働損失による社会生産性の損失も72%減少させる。
 
5)副反応
 国内臨床試験508例中、接種後30日間に報告された主な副反応。
  ぐずり37例(7.3%)、下痢18例(3.5%)、咳・鼻水17例(3.3%)、その他に発熱、食欲不振、嘔吐など。
  ※咳・鼻水のほとんどは、紛れ込みと思われます。
 海外臨床試験で報告された副反応:ぐすり、下痢(1〜10%未満)、鼓腸=こちょう(お腹がふくれること)、腹痛、皮膚炎(0.1〜1%未満)。
 海外の市販後調査で、接種後に報告された主な副反応:腸重積症、血便排泄、重症複合免疫不全のある患者のある患者さんのワクチンウィルス排泄を伴う胃腸炎。 
 市販前の臨床試験の報告によると、生後24週以降に受けると腸重積症のリスクが高まるとされており、接種不可となっています。
そのため、24週以降の投与は認められません。将来は、老人にも適応拡大が考えられています。


(ロタウィルス胃腸炎予防ワクチン/ロタリックス内服液を接種した赤ちゃんの保護者の方へ/監修:川崎医科大学 小児科学講座 教授 尾内一信先生)(2011年 予防接種に関するQ&A集)
ロタリックス内服液の接種後の注意点
1)接種後30分は安静にしてください。
 重いアレルギー症状が起こることがありますので、すぐには帰宅せず、少なくとも30分間は様子をみてください。せめて、15分間だけでも!
2)体調の変化に注意してください。
 健康状態の観察を行い、高熱、けいれんなどの異常な症状が出たときは、速やかに医師の診察を受けるようにしてください。
3)ワクチン接種1週間程度は便中にウィルスが排泄されますが、排泄されたウィルスによって胃腸炎を発症する可能性は低いことが確認されています。念のために、おもつ交換後などワクチン接種を受けたお子様と接した際には手洗いをするなど注意してください。特にご家族の中で免疫系に異常のある方がいる場合には、ワクチン接種を受けたお子様と接したあとの手洗いを徹底するなど注意してください。

腸重積の症状にご注意ください
 接種後に次のような症状がみられた場合は、家庭で様子をみて長引かせないよう、速やかに医師の診察を受けるようにしてください。
1)ぐずったりする(不機嫌)、2)泣きと不機嫌を繰り返す、3)顔色が悪い、4)繰り返し起きる嘔吐、5)イチゴジャムのような血便、6)お腹のはり

★海外の発売後の調査では、本剤の初回接種から31日間(腸重積のほとんどは初回接種から7日間に発症)は腸重積のリスクが増加する可能性があるとされています。そのため、特にこの期間は健康状態を十分観察してください。

(ロタウィルス胃腸炎予防ワクチン/ロタリックス内服液を接種した赤ちゃんの保護者の方へ/監修:川崎医科大学 小児科学講座 教授 尾内一信先生) 
ロタリックス内服液の接種不適応者
被接種者が次のいずれかに該当すると認められた場合には、接種を行ってはならない。
1)明らかに発熱を呈している者 
2)重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
3)本剤の接種後に本剤の成分によって過敏症を呈したことがある者
4)腸重積症の発症を高める可能性のある未治療の先天性消化管障害(メッケル憩室等)を有する者
5)腸重積の既往のある者
6)重症複合型免疫不全を有する者
7)上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者

(ロタウィルス胃腸炎から赤ちゃんを守るために/グラクソ・スミスクライン株式会社/第一三共株式会社)
ロタリックス内服液Q&A

Q:ロタリックス内服液を接種後、吐いてしまったらどうすればよいのですか?
A:まずは先生に相談して、指示を受けてください。また、吐いたものがついてしまった場所は塩素系漂白剤や哺乳瓶用の消毒液などで消毒し、後始末をしたあとの手はよく洗ってください。

Q:インフルエンザと同じように、ロタウィルスも毎年流行する種類が違うのですか? 毎年接種しなくても大丈夫ですか?
A:全世界で分布する主なロタウィルスのうちヒトに感染し胃腸炎の原因となるのは5タイプほどですが、年や地域で流行があります。しかし自然のロタウィルスは、感染によってタイプに関係なく免疫ができていますので、このメカニズムにならったロタリックス内服液を生後24週までに2回接種すれば、その後毎年接種する必要はありません。

Q:ロタリックス内服液は他の胃腸炎も予防できますか?
A:いいえ、ロタウィルスによる胃腸炎だけです。

Q:ロタリックス内服液を接種したらウィルスが便中に排泄されますか?
A:はい、接種後1週間程度は赤ちゃんの便中に排泄されますが、排泄されたウィルスにょって胃腸炎を発症する可能性は低いことが確認されています。念のために、おむつ交換など赤ちゃんと接した際には手洗いをするなど注意してください。特にご家族の中で免疫系に異常がある方がいる場合には、赤ちゃんと接したあとの手洗いを徹底するなど注意してください。

Q:2回目の接種が生後24週を過ぎてしまったら、もう接種は無理ですか?
A:ロタウィルス胃腸炎は母親から受け継いだ免疫がなくなって初めて感染したときが重症化しやすく、ワクチンの接種の目的はこれを予防することにあります。そのため、早めに接種を終わられせることが重要ですので2回目の接種は、生後24週までに完了しててください。

(ロタウィルス胃腸炎予防ワクチン/ロタリックス内服液を接種した赤ちゃんの保護者の方へ/監修:川崎医科大学 小児科学講座 教授 尾内一信先生)
ロタリックス
ワクチン(予防目的)
 現在、世界で使われているワクチンは2種類あり、いずれも経口生ワクチンです。世界保健機関(WHO)が乳児への定期接種化を推奨し、多くの国で導入。日本で最初に承認されたのはグラクソ・スミスクラインの「ロタリックス」(液状ワクチン)です。既に世界120ヶ国以上で使用実績があります。
 ロタウィルスには数百種類の型がありますが、全世界のロタウィルス胃腸炎の90%以上は特定の5種類の型によって引き起こされています。その内ロタリックスは、全体の65%を占める「G1P[8]」という型から製造しています。獲得した免疫で類似の病原体にも防御反応を示す「交差免疫」により、G1以外のタイプにも予防効果が期待できるといいます。

【ロタリックス内服液投与方法・効果】乳児(6週以上)に、1回1.5ml、4週間以上の間隔を置いて2回経口接種。
 国内の臨床試験(治験)では、重症のロタウィルス胃腸炎を92%防ぐ効果が認められています。

【接種時期】ワクチンにはそれぞれ適切な接種時期や接種回数があります。ロタリックスの場合、通常生後6週以降に初回の接種を行い、生後6カ月(24週)までに2回目の接種を終えます。
 でも、この時期は3種混合やBCG、インフルエンザ菌b型(ヒブ)、小児用肺炎球菌などのワクチンの接種時期でもあります。
 最近、同時接種に"逆風"が吹きました。
 ヒブや小児用肺炎球菌を含む複数のワクチンの同時接種による悲劇。
 厚労省の検討会は「死亡と接種には明確な因果関係はない。安全上問題ない」と判断し、接種が再開されました。

薗部友良・日赤医療センター小児科顧問の話
 「同時接種は安全だ。医学的には何種類までという制限もない。子どもたちを守るために活用してほしい」