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| ロタウィルス感染症 24.04.01 【目的】ワクチン導入前のプライマリケアであるクリニック におけるロタウィルス感染症の実態について前方視的に検討した。 【方法】2010年10月〜2011年8月まで当クリニックを受診した3歳未満の急性胃腸炎と診断した全例に、便によるロタ・アデノ迅速診断を施行し臨床像を検討した。 【成績】男143例、女108例、0歳94例、1歳105例、2歳52例、合計251例を対象とした。 ロタ陽性71例、アデノ陽性84例、ロタアデノ共に陽性3例、共に陰性93例で、ロタ陽性は2月〜5月に集中発生した。点滴が必要であった症例はロタ10例、アデノ3例、共に陰性2例。入院に至った例はロタ9例、アデノ0例、共に陰性5例であった。 カルテに記録された最高体温を検討した。ロタ36℃24例、37℃15例、38℃20例、39℃以上28例、アデノ36℃11例、37℃30例、38℃13例、39℃以上17例、共に陰性36℃46例、37℃24例、38℃11例、39℃以上12例。 【結論】ロタ陽性者からみると点滴13.5%、入院12.2%と25%に観血的な治療が必要で、体温も高い傾向にありより重症であった。ロタウィルスワクチンの早期の広範な導入、できれば定期接種化が望まれる。今後ワクチン導入後の急性胃腸炎の臨床像の変化も合わせて検討したい。 南武嗣/みなみクリニック:日本小児科学会雑誌平成24年2月号391(249) |
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| ロタウィルス胃腸炎の症状 下痢:白っぽい米のとぎ汁のような便。血便はみられない。 嘔吐:突然の嘔吐で始まることが多い。 発熱:かかったこどもの3割〜5割くらいでこみられる。 その他:下痢や嘔吐くる脱水、昏睡(意識障害)、腹痛、食欲不振など。 合併症:まれに腎不全、脳炎・脳症などを合併することがある。 ※脱水の徴候:眼・頬の陥没、ぐずる、つまんだ皮膚が元に戻りにくい、腹部の陥没、3時間以上排尿なし、 ぐったりしている、口内または舌の乾燥、涙液の減少または消失、泉門陥没など。 (グラクソ・スミスクライン株式会社/第一三共株式会社のパンフレット) |
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| ロタウィルスの特徴 Q1)ロタウィルスは一般にはまだ周知度が低く、医療関係者のなかでもさほど重要視しない方もいますが、どの程度の影響力をもつウィルスなのですか。 堤)レオウィルス科に属するロタウィルスは、冬季における乳幼児嘔吐下痢症のなかで最も多い病因で、5歳までにほとんどの児が初感染を経験しています。代表的な感染症は急性胃腸炎です。一般的にロタウィルス胃腸炎は予後が良いため、「感染症としても軽い」というイメージを持っている医師もいまずが、実は強い脱水症や重篤な合併症を引き起こすこともあるので、注意を要するものなのです。 わが国における小児の年間ロタウィルス感染症患者数は外来受診者が約80万人、そのうち約10%が下痢による脱水や合併症のため入院しています。生後6カ月から2歳までの罹患がもっとも重症化しやすいのですが、言葉による意思表示が難しい時期の児のため、周囲が早く異常に気づいて適切に対処できるように疾患啓発の重要性を感じます。 Q2)ロタウィルスは乳幼児期しか感染しないのですか。 堤)いいえ、年長児以降は不顕性感染が多くなりますが、生涯にわたり繰り返し感染します。成人感染のピークは20〜30歳代と50〜60歳代で、この年齢はちょうど乳幼児の親と祖父母にあたる年代であることから、児とその世話をする成人間での感染がうかがえます。 Q3)冬季流行のウィルス性胃腸炎ではノロウィルスが知られていますが、両者の違いを説明していただけますか。 堤)日本では毎年11月から翌年5月にかけて胃腸炎が流行しますが、その多くはノロウィルスとロタによるものです。流行期はノロウィルスが先行し(3週頃がピーク)、少し遅れてロタウィルス(15週頃がピーク)が年明けから徐々に増えていきます。 患者数はノロウィルスのほうが多いですが、重症化する率はロタウィルスのほうがはるかに高いのです。例えば脳症の後遺症率は、インフルエンザウィルスによるものが25%であるのに対し、ロタウィルスでは38%と高率です。脳症のほか、麻痺性イレウス、腸重積症、痙攣(けいれん)などの合併症や併発症もあります。 Q4)ロタウィルス胃腸炎の主な症状と治療法についてお聞かせ下さい。 堤)ロタウィルスは患者の排泄物を介して経口感染し、小腸の粘膜細胞で増殖して下痢や嘔吐を引き起こします。通常2日ほどの潜伏期を経て、突然の発熱や嘔気・嘔吐が先行し、た後に酸臭のある激しい下痢が始まります。激しい下痢や便が白色であることから,「仮性コレラ」「白痢」と称された時期もありました。 特異な治療法がないため、治療の基本は胃腸炎に対する対症療法を行います。下痢による水分と電解質の流失を経口補液または経静脈輸液を用いて補充するのが、なかには経口補液療法では十分に対応できないほど高度の脱水症を起こす児もいるため、入院治療を必要とする患児が多いのです。 Q5)伝染力の程度はどのくらいですか。 堤)ロタウィルスはノロウィルスと同様に強力な感染力があり、五類感染症の1つとして小児科定点 から報告される感染性胃腸炎のかなりの部分を占めています。 激しい下痢が持続する4〜5日間の便1mLの中における最大ウィルス量は1010粒子(1010〜1013粒子ともいわれている)で、これはわすが0.01ml程度の微量でも下痢便が付着して手で生食料理を調理すると、1万人を感染させ得るウィルス量が存在しているという量です。 わが国では死亡例は稀ですが、世界では毎年発展途上国を主に約60万人もの死亡者が出ています。ウィルスは便や嘔吐物内に大量に含まれ急性期から1週間程度排泄されるため、経口感染の防御が重要なのですが、わが国のように上下水道が整備された衛生状態が良い環境においても感染防御は困難で、保育園や幼稚園では毎年のように集団感染が生じています。アルコール消毒はある程度有効ですが、感染予防にはそれに加えて手洗いを徹底して接触感染を断つことが肝要です。 Q6)有効な治療法がなく感染力が強いロタウイルスに対して、他国ではどのような対策をとっているのでしょうか。 堤)先進国、発展途上国を問わず、世界120ヶ国以上でワクチンを用いて、感染症の重症化を防止しています。乳幼児の罹患は本人のつらさは言うまでもありませんが、家族内感染の危険があり、看護のために保護者が数日間仕事を休まなくてはならないといった経済的な損失も伴うため、保護者の負担は大きくなります。有効な治療法がなく対症療法を行うしかない現状では、わが国でもワクチンの承認が待たれるところです。 (/Double Smile 創刊号/編集幹事 堤 裕幸/メディカルレビュー社 デジタル編集企画部発行/札幌医科大学医学部小児科学講座教授 堤 裕幸 先生) |
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ロタウィルス胃腸炎の世界の疫学(推定発生状況)
ロタウィルスは、乳幼児の急性重症胃腸炎の主な原因で、日本において毎年120万人が発症し、そのうちの8万人近くがロタウィルス胃腸炎により入院しています。 発症120万人⇒外来受診79万人(2/3)⇒入院7万8千人(1/15)⇒死亡10〜20人(1/10万) ( )は発生リスク (Double Smile 2号/編集幹事 堤 裕幸/メディカルレビュー社 デジタル編集企画部発行) (ロタウィルス胃腸炎から赤ちゃんを守るために/グラクソ・スミスクライン株式会社/第一三共株式会社) |
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| 見逃せない医療費以外の経済的負担 目的:日本でのロタウィルス胃腸炎による経済的負担を調べる 対象:2009年1〜6月に大阪労災病院と清恵会病院の小児科でロタウィルス胃腸炎と診断された5歳未満の患児家族 約100人 結果: 【直接医療費】 ・入院1件当たりの費用は:136,000円(入院:176,798円、通院:50,717円) ⇒全国でみた推定総額:100〜150億円 【間接的な疾病負担】 ・労働損失(付き添いや通院による欠勤などによって失われた労働力の額):3万円以上 ・休日や夜間の小児救急医療における負担額 ⇒医療費を含めた総疾病負担額は年間約540億円 言い換えれば、感染を完全に抑えられれば500億円以上の財源を捻出できるということでもあるのです。 (川村尚久:臨床と微生物 37,259-264,2010) (Double Smile 2号/編集幹事 堤 裕幸/メディカルレビュー社 デジタル編集企画部発行) |
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急性胃腸炎の年齢別検出ウィルス(292件)
(Double Smile 創刊号/編集幹事 堤 裕幸/メディカルレビュー社 デジタル編集企画部発行) |
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| 初感染時に重症化ししやすい 5歳までにみんなかかるけど・・・ ロタウィルス胃腸炎は、世界中ほぼの全員が5歳までに1度は経験するといわれています。しかし、体が小さいうちに初めて感染すると重症化しやすく、入院による治療が必要となることもあります。日本では、ロタウィルス胃腸炎で入院する小児の3割が0歳児、4割が1歳児です。 ☆ある病院におけるロタウィルス胃腸炎で入院した患者の月齢
(ワクチンで予防できる赤ちゃんの病気/「ロタウィルス胃腸炎を」をご存じですか?/監修:川崎医科大学 小児科学講座 教授 尾内一信先生) |
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| 小児の急性脳炎・脳症の原因 ロタウィルス胃腸炎では、脱水症の進行や痙攣がみられたり、重症化のため入院治療に至るケースもあります。 ロタウィルスは、小児の急性脳炎・脳症の原因の第3位に挙げられます。その他には、ADEM(急性散剤性脳脊髄炎)や不明例が含まれます。
((ロタウィルス胃腸炎から赤ちゃんを守るために/グラクソ・スミスクライン株式会社/第一三共株式会社)/島恒雄/ウィルス2009;59;59-66.より一部改変) |
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![]() 乳幼児の激しい嘔吐や下痢の原因として最も多い「ロタウィルス胃腸炎」。重症化すると極度の脱水症状や脳炎などを起こし、命にかかわることもあります。 どんな病気? 世界中のほぼすべての子どもが5歳までにロタウィルスに感染します。乳幼児の入院を必要とする下痢の30〜50%はロタウィルスが原因。 【流行時期】日本では毎年2〜5月に流行し、特に生後6カ月〜2歳の発症が多い。 【症状】感染すると半日から4日の潜伏期間の後、●嘔吐、●米のとぎ汁のような白く水っぽい下痢、●発熱、●腹痛などの症状。 【経過】多くの患者は1週間程度で回復します。■嘔吐、■下痢の繰り返しで、ひどい脱水症に陥り重症化することもあります。■けいれん、 ■脳炎・脳症などの合併が引き起こされ、死亡するケースもあります。 【感染経路】ウィルスは患者の便に大量排泄され、周囲に付着。これが手やおもちゃなどを介して子どもの口に入り感染が広がります。 感染力は非常に強い。 【治療】抗ウィルス剤などの有効な薬剤はありません。水分やナトリウムなどの電解質を補給する対症療法が中心。 それだけにワクチンによる予防が重要になります。 ◆ワクチン(予防目的) 現在、世界で使われているワクチンは2種類あり、いずれも経口生ワクチンです。世界保健機関(WHO)が乳児への定期接種化を推奨し、多くの国で導入。日本で最初に承認されたのはグラクソ・スミスクラインの「ロタリックス」(液状ワクチン)です。既に世界120ヶ国以上で使用実績があります。 ロタウィルスには数百種類の型がありますが、全世界のロタウィルス胃腸炎の90%以上は特定の5種類の型によって引き起こされています。その内ロタリックスは、全体の65%を占める「G1P[8]」という型から製造しています。獲得した免疫で類似の病原体にも防御反応を示す「交差免疫」により、G1以外のタイプにも予防効果が期待できるといいます。 【ロタリックス内服液投与方法・効果】乳児(6週以上)に、1回1.5ml、4週間以上の間隔を置いて2回経口接種。 国内の臨床試験(治験)では、重症のロタウィルス胃腸炎を92%防ぐ効果が認められています。 【接種時期】ワクチンにはそれぞれ適切な接種時期や接種回数があります。ロタリックスの場合、通常生後6週以降に初回の接種を行い、生後6カ月(24週)までに2回目の接種を終えます。 でも、この時期は3種混合やBCG、インフルエンザ菌b型(ヒブ)、小児用肺炎球菌などのワクチンの接種時期でもあります。 最近、同時接種に"逆風"が吹きました。 ヒブや小児用肺炎球菌を含む複数のワクチンの同時接種による悲劇。 厚労省の検討会は「死亡と接種には明確な因果関係はない。安全上問題ない」と判断し、接種が再開されました。 薗部友良・日赤医療センター小児科顧問の話 「同時接種は安全だ。医学的には何種類までという制限もない。子どもたちを守るために活用してほしい」 |