感染症  
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日本脳炎
原因
:日本脳炎ウイルスによる感染が原因です。豚➩コカダアカイエカ➩ヒトという感染経路が考えられています。
潜伏期間:7~10日。
症状:大部分の人は不顕性感染で終わるので、無症状です。突然の高熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんを起こす。
  感染した1,000~1,500人に1人が脳炎を発症する。脳炎以外では無菌性髄膜炎、夏かぜ様疾患もみられる。
  最近の日本脳炎患者の発生は年間10人以下程度が西日本地区の高齢者を中心に発症しているが、
 熊本県の3歳男児例も報告されている。
診断:髄液よのり日本脳炎ウィルスの分離や血清抗体価の上昇によって確定診断をする。
治療:ウィルスに対する特殊な治療法はなく、対症療法のみである。
予後:現在の死亡率は15~17%程度です。神経学的後遺症を残す例が48.5%と多い。後遺症の中では、精神障害、
 知能障害、不随意運動、麻痺、言語障害、性格変化が多い。
予防:日本脳炎ワクチン(不活化ワクチン)があります。 
急性胃腸炎
感染症の感染性胃腸炎の説明と同じ。 
化膿性髄膜炎
髄膜炎
:髄膜炎とは、脳と脊髄をおおう髄膜に菌が侵入して炎症を起こす病気です。脳にも炎症を起こすことがあります。
 全ての年齢にみられるが、免疫力の弱い乳幼児が罹患しやすく、敗血症を合併することも多い。

疫学
5歳未満人口10万人対15.4人、5歳以上15歳未満人口10万人対1.0人との報告がある。
 新生児及び乳幼児期の発症率が高く1カ月未満が25%、4歳未満が80%を占めている。男女比では男児が多い。明らかな季節性はない。

原因
:年齢によって原因菌が違うが、インフルエンザ菌b型(60.3%)、肺炎球菌(31.1%)、その他(8.6%・・ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、リステリア菌 など)が多い。結核菌が原因場合には、特別に結核性髄膜炎と言います。治療薬が全然違います。
症状:古典的3主徴は「発熱」、「頭痛」、「嘔吐」で、2歳以上では髄膜刺激症状(こう部硬直など)を伴うこともある。
 また、乳児では大泉門の膨隆を伴うことがある。新生児や乳児では、不機嫌・哺乳低下・易刺激性など「なんとなく元気がない」だけで、
 典型的な症状を全く示さないことが多い。重症例では、昏睡などの意識障害やけいれんがみられる。
診断:髄液検査で診断します。髄液の性状(糖低下、細胞数増加・多核球優位、蛋白増加、髄液の塗末検査結果、
 及び髄液の培養・同定・感受性の結果を踏まえて確定診断を下します。
治療:化膿性髄膜炎が疑わしい場合には、検査終了後直ちに抗生物質を点滴します。通常2~4週間です。
 治療中止の目安は、①髄液検査の正常化、②血液検査の正常化(CRPなど)を目安とします。
 最近、重症例では、脳低温療法が試みられています。
予後:肺炎球菌が原因で髄膜炎に罹った場合には、死亡率が高く(6.9%)、救命できても聴力障害、水痘症、硬膜下水腫、運動麻痺、発達遅滞、
 けいれんなどの後遺症をのこすことが少なくない(28.7%)。
予防:インフルエンザ菌b型と肺炎球菌に対する予防接種が発売されています。任意接種です、診察時や電話でお尋ね下さい。
問題点:1)診断がつきにくい、2)治療が難しい、3)死亡することがある、4)重い障害(後遺症)が残りやすい。
  
③無菌性髄膜炎
原因
:髄膜炎は原因によって、1)細菌性(一般細菌、結核菌)、2)真菌(カビ類)、3)無菌性に大別されます。
 更に無菌性は、a)感染性(ウィルス性)、b)非感染性(アレルギー、白血病細胞の髄腔内浸潤、髄腔内注射による刺激、種々の物質による中毒)に分けられます。
 無菌性髄膜炎はウィルスによる感染が最も多く、エンテロウィルスが全体の90%を占めます(詳細・・エコーウィルス 60%、コクサッキーB 24%、コクサッキーA 6%)、その他に単純ヘルペスウィルス、水痘ウィルス、ムンプスウィルス、風疹ウィルス、麻疹ウィルスなとが原因となります。。
症状:発病は急激で、「発熱」+「頭痛」+「嘔吐」の3大徴候がみられる。「発熱+嘔吐」、「発熱+頭痛」のこともある。他覚所見として、こう部硬直、ケルニッヒ徴候などがみられるが、それらを欠く例も多い。
診断:確定診断には、髄液検査が必要です。髄液の性状としては、細胞増加が少しある程度で、あってもリンパ球優位です。
 蛋白増加や糖低下などは通常診られません。
 ウィルス学的診断には、1)髄液よりのウィルス分離、2)髄液に細胞増多がみられ、咽頭ぬぐい液、糞便などからのウィルス分離、3)髄液に細胞増多がみられ、血清の中和抗体が4倍以上の上昇をみる。以上のいずれかの条件が充たされるとウィルス性髄膜炎と診断してよい。
治療:原則として入院加療を行う。
 a)安静:本症において安静が重要である。伝染防止と安静保持のため回復まで2~4週間入院させた方がよい。
 b)髄液排除:腰椎穿刺はできるだけ細い穿刺針を用いて行い、髄液排除後はしばらく静臥させる。髄液排除は確定診断に必要であるだけでなく、治療としても必要な手技である。
 c)輸液:病初期には、発熱、嘔吐のため経口摂取が不十分なので点滴(静脈内点滴静注)を行う。
 d)薬物療法:発熱に対して解熱剤を使用する。髄膜刺激症状に対しては鎮静剤として抗けいれん薬や鎮静剤を投与することがある。
  また、単純ヘルペスや水痘に対しては抗ヘルペス薬が非常に有効である。
予後:年長児では多くの例で予後良好に経過する。新生児あるいは乳児期に本症に罹患すると予後は必ずしも良好とは言いにくい。
 長期予後調査では、知能低下、言語発達の遅延、CTてせの脳萎縮をかなりの例で認めた報告されている。
 ムンプス(おたふくかぜ)の無菌性髄膜炎罹患後、潜在性てんかんになった例19%、ムンプス以外の無菌性髄膜炎で潜在性てんかんになった例12.2%、てんかん例や知能障害を認めた例もある。
予防:水痘、ムンプス、麻疹、風疹に対しては予防接種がある。
  
④流行性耳下腺炎
原因
:ムンプスウィルスの飛沫感染または唾液の接触感染によりヒトからヒトへ感染する。
潜伏期間:16~18日であり、30~40%が不顕性感染である。
症状:突然の耳下腺腫脹と疼痛で発症し、耳垂下部から腫脹し始め、耳前部及び下顎角の前下方にかけて全体が腫脹する。
 片側から始まり、1~2日後に対側も腫れるが、約1/4は片側で終わる。腫脹のピークは1~3日であり、通常1週間程度で軽快する。
診断:典型的な場合は見た目で診断できるが、軽症例や不顕性感染例では抗体検査を参考にする。ウィルス培養は通常実施しない。
合併症:無菌性髄膜炎が3~10%と高頻度である。脳炎の頻度は0.02~0.3%と低いが、死亡または後遺症を残す可能性がある。
 難聴の我が国の年間発生数は360~650例と推計されており、実際の発生頻度は低くない。多くは片側性で高度な感音性難聴をきたし、
永続的な障害となる。精巣炎は、思春期以降の男性患者の約25%に合併する。30~40%に精巣萎縮を残すが、不妊症はまれと
考えられている。その他に膵炎や心筋炎の合併が知られているが、重症例はまれである。
治療:対症療法のみである。痛みに対して、冷やしたり、解熱剤を鎮痛剤として使用する。
予後:通常は予後良好な疾患であるが、脳炎による死亡・後遺症、難聴の後遺症が問題となる。
予防:ムンプスワクチンを2回接種するとほとん゛罹らない。1回だけでは不十分である。水痘などにも言えることである。
注意点:登園・登校は約1週間禁止です。疼痛が軽ければ、入浴・シャワーは可。疼痛がひどい場合や合併症が疑われる場合には、
再診し、診察を受けましょう。登園・登校の許可が必要です。 
⑤水痘
 水痘はご承知のとおり、水痘・帯状疱疹ウィルスの初感染の際の病態です。日本でも毎年25万人ぐらいが罹患しています。
 すごい数ですね。罹患患者数がこんなに多い理由は予防接種を受ける人が少ないせいでしょぅか。
 水痘ワクチンは、日本で開発されたワクチンであるにもかかわらず、ワクチンの接種率は大体30%ぐらいなんです。そのぐらいの接種率だと、
どうしても自然に罹患してしまう方がかなり多くなります。
 ほとんどの場合は、特に免疫状態とかに問題なければ、大体1週間程度の経過でよくなることが多い。稀に、基礎疾患がなくても脳炎や肺炎になることもあります。
 水痘の治療には、抗ウィルス薬(アシクロビルなど)があります。抗ウィルス薬を投与した方が、投与しないより有意に早くよくなっています。
ただ、大幅に期間が短縮されるわけではないので、医療経済的な理由等を考慮すると、必ずしも必要な薬ではありません。
 アメリカでは、「重症化しそうな人に投与しなさいと」と書かれています。12歳以上の比較的年長の場合、アトピー性皮膚炎、膠原病や川崎病でアスピリンを内服中、副腎皮質ステロイドを内服中等の重篤化しやすい下地があります。
 ただ、最近は保育園等にお子さんを預けて働いておられるお母様方も多いので、少しでも早くよくなって、また保育園に預けて自分も働きたいという希望のため、投薬を希望されめ方がかなり多い。抗ウィルス薬を使うなら、なるべく早目(発症してから24時間以内)に使用した方がより効果的と考えて良いと思います。
 抗ウィルス薬を使用すると、抗体ができないのではないかと心配される方もいらっしゃいます。比較試験の成績があり、投与しても抗体は獲得できます。
 実際の抗ウィルス薬の使い方ですが、小児の場合、体重と年齢を考えて使用します。抗ウィルス薬として、アシクロビルを使う場合には、体重1kg当り80mgを1日量として、4回に分けて投与するのが一般的です。1回当り0.5gとなり、かなり大量投与となります。味もサパサパしていておいしくありません。シロップの方が小さい子には飲みやすいかもしれません。(ジェネリックでは量が少なく、飲みやすいものもあります)。
 結局、やはりもう少し予防接種を勧めた方がいいと思います。基本はやはりワクチンで予防していただくということが一番だと思います。

出典
 岩田 敏(国立病院機構東京医療センター総括診療部長):ドクターサロン 2009年9月号53巻p672-675
 
⑥急性気管支炎
原因
:①ウィルスが多い・・アデノ、ライノ、RS、インフルエンザ、パラインフルエンザなど。
    ②細菌では、インフルエンザ菌b型、肺炎球菌、モラキセラ・カタラーリスなどが多く、ウィルスの二次感染として細菌が関与する。
    ③肺炎マイコプラズマや肺炎クラミジアなどの非定型病原体や百日咳菌が原因のこともある。
気管支炎は、発熱、咳嗽、喀痰などの気道感染症状がある患者で胸部聴診ではラ音が聴取できるものの、胸部X線像では明確な異常陰影が認められない場合の臨床的診断と定義されている。
 ①迅速診断キット・・アデノウィルス、RSウィルス、インフルエンザウィルス、マイコプラズマに関しては市販されている。
 ②喀痰培養・・確定診断には必要であるが、実施することが難しい。
 ③ペア血清・・マイコプズマ肺炎や肺炎クラミジアでは、最初と2週間後とで抗体価を比較すると診断の手助けになる。
 ④炎症反応・・白血球数やCRPだけでは、ウィルス性、細菌性と非定型性を明確には区別できない。
重症度:外来治療での治療が可能な疾患だが、経口摂取が不良で脱水症状を伴う場合には、入院治療が必要となる。また、呼吸困難があると、肺炎との区別のため胸部X線撮影が必要となることもある。
治療:気管支拡張剤、去痰剤がよく使用される。気管支拡張剤の吸入、点滴、酸素投与が必要になることもある。細菌感染の関与が疑われる場合には、抗菌薬治療を行う。脱水を伴い全身状態不良の場合や、耐性菌感染などにより経口抗菌薬では十分な臨床効果が得られない場合には、経静脈投与を選択する。
⑦肺炎
原因
:気管炎の原因と同様に、ウィルス性、細菌性、非定型性に分けられる。年齢別に起炎菌が異なるのも特徴の一つである。
 ①新政治期~3カ月:B群溶連菌、大腸菌、リステリア、ブドウ球菌、クラミジアなど。
 ②4カ月以降の乳児・幼児:肺炎球菌、インフルエンザ菌b型、インフルエンザウィルス、アデノウィルス、マイコプラズマなど。
 ③学童期:マイコプラズマ、クラミジア、肺炎球菌など。
症状:発熱、鼻汁、痰がらみの咳、呼吸困難など。最近は呼吸困難や多呼吸を呈する肺炎は少ない。乳幼児では発熱、咳嗽などの症状が軽微なため、哺乳力低下および活動性の低下などで気づかれることも多い。
診断:肺炎とは、発熱、鼻汁、咽頭痛、咳嗽などの急性呼吸器症状を伴い、胸部X線やCTなどの画像診断において肺に急性に新たな浸潤陰影が認められるものと定義されている。
 細菌性、ウィルス性、非定型性を区別することは最初に行うべきであるが、白血球数もCRP値では3群を明確に鑑別することはできない。4歳以上で白血球数8,000未満の症例では、細菌性はほぼ否定できるとの報告がある。
 学童期では、非定型性肺炎がほとんどになる。非定型性肺炎では、胸部X線の陰影が区域性の陰影を呈することが多い。また比較的全身状態がよく、乾性咳嗽が多いのも特徴である。
重症度:全身状態、チアノーゼ、呼吸数の増加、努力呼吸、CRP15mg/dl以上、胸部X線での陰影が一側の2/3以上、酸素飽和度90%未満、胸水多量の中で1つでもあれば重症。どれにも当てはまらなければ、軽症。
治療:重症例では入院治療が原則。点滴、細菌性や非典型性の場合には、抗生物質の持続静脈内投与、必要に応じて酸素投与、人工呼吸を実施する。
経過・予後:肺炎は呼吸器疾患の中でも重い疾患であるため、完全に回復するまでに1週間以上を要する。しかし、通常は特に後遺症を残すことなく回復する。
予防:インフルエンザ菌b型、肺炎球菌、インフルエンザウィルスに対する予防接種がある。年齢制限や年齢による接種量などの違いがある。
(22.09.01)
急性胃腸炎 23.02.02
主な症状吐気・嘔吐、下痢、腹痛、発熱の四つです。嘔吐がおさまったと思ったら下痢が始まったというパターンが結構多いようです。
 便の色は通常、黄色から緑ですが、白から薄黄色になることもあります(ロタウイルスやアデノウィルス)。まれに血便も見かけます。

原因
ほとんどがウィルス性です。ウィルスの中では、冬場ではロタウィルス、アデノウィルスやノロウィルスが多い。インフルエンザウィルスが原因のこともあります。
 その他に、細菌性のことがあり、食中毒の結果ということもあります。細菌性のものでは、サルモネラ菌、キャンピロバクターや病原性大腸菌が要注意です。

 現在はロタウィルス性急性胃腸炎が大流行しています。

検査
便を使って、ウィルス迅速検査でアデノウィルスやロタウィルスが原因かどうか調べます。
 当院には、ロタウィルスだけ調べるものと、ロタとアデノを同時に調べるものを準備しています。
これは保険適応がある検査です。ノロウィルスに対する検査もありますが、まだ一般的ではありませんし、保険がききません。
 細菌性が疑われる場合には、便培養で調べますが、4~5日以上結果判明するまでに時間がかかります。
 全身状態が悪い場合には、一般の血液検査(炎症反応、血糖値、肝機能、腎機能、電解質など)も併用します。


鑑別診断
嘔吐や頭痛で病気が始まっても、髄膜炎のこともあります。また、嘔吐、下痢と腹痛が続くと思っていたら、急性虫垂炎で腹膜炎を起こした例を経験しました。

治療
治療の目的は、脱水症の予防と腹痛の軽減です。
①経口補水液による脱水の予防
 
脱水症がひどくなると命にかかわることもあり、あまり甘く考えない方が無難です。
 実際の方法としては、水分の補給だけでは不十分で塩分の補給にも気を付ける必要があります。また、吐くといって何も何時間を与えない絶食では、脱水症がかえって進行しますので、吐いても与えましょう。目安としては、1回に10~20mlずつ少しずつ頻回に与えるのがコツです。
 与える物としては、塩分を多めに含むOS-1やソリタの顆粒が一番のお勧めです。次にアクアライトですが、塩分が少なめなので、塩をひとつまみ追加してみましょう。そういう点では、ポカリスエットなどは塩分が少な過ぎるので勧められません。
 参考)OS-1は200mlが140円、500mlが200円くらいです。第一薬局、健康堂、コスモス、ドラッグストアー森などに置いてあります。ソリタT2顆粒は保険診療で行う経口補水液で医師の処方が必要ですが、2割負担だと500ml相当で24円、3割負担でも35円程度の自己負担です。味はポカリスエットに似ています、クリニックでは希望される方には味見をしてもらっています。
 また、ミルクや母乳は中止する必要はなく、ミルクを薄めるのも良くありません!


②吐気を軽減させる薬剤を使用する脱水の予防
 
吐気を軽くする薬には、ナウゼリンやプリンペランなどがあり、粉(ドライシロップ)、錠剤、坐薬と注射製剤があります。1歳未満の子にけいれんを起こすことがあるので使用禁止です。
 1歳~3歳では坐薬を、3~9歳では粉薬を、10歳以上では錠剤をお勧めします。
 以上対応で無効な場合には、点滴や精密検査が必要になると思います。


③腹痛の軽減
 
腹痛を軽減させる薬には、粉(セスデン)、錠剤(ブスコパン、ペンタジン)と注射製剤(ブスコパン、ペンタジン)があります。通常は麻薬は使用しません。

登園・登校
保育園における感染症対策ガイドラインが厚生労働省から出されました。
それによると
「嘔吐・下痢が治まり、普段の食事がとれること」が登園の目安となっています。
登園許可書の提出や保護者が医師の診断・許可を受けたことを文章にして、園に届けるように指導している園が増えてきました。
 小学校以上の学校に対する学校保健法には、感染性胃腸炎に関する登園や登校に関する記載はありません。そのため医師が各自で判断しています。私は、吐気がある、腹痛がある、発熱している場合には登園・登校を禁止しています。下痢があっても食欲がある程度あれば登校は許可しています。
 ただし、病原性大腸菌(O157など)が原因でベロ毒素産生菌の場合には、隔離が必要なので、保健所に届け出指示に従います。


その他の注意点
1)入浴
:吐気がおさまったら、許可します。
2)汚物の処理
:汚物の中にウィルスなとがたくさん入っています。乾燥して再び飛び散ると再感染のきっかけになります。その予防のためには、衣服やタルオなどはハイターで消毒しましょう。哺乳瓶などはミルトンなとで洗いましょう。吐いた物を拡散させないために、患者の周囲にバヤツ、洗面器や袋をすぐ使用出来るように準備しておきましょう。
3)手洗い
:病原体を減らす一番簡単方法は流水で手を洗うことです。
4)嘔吐時の対応
:乳幼児ではミルクや固形物を吐く時に、吐物を気管につまらせる危険があります。吐いている時には、そうならないように、横や下を向け、背中をさすったり叩いたりしましょう。
5)食事
:吐気がおさまっていない時に固形を与えると窒息や誤嚥性肺炎の危険性があります。水分を何回与えても吐かなくなってから、固形物を与えましょう。
6)オムツカブレの予防
:下痢の度にお尻を洗い、ドライヤーで乾燥させることをお勧めします。それでもかぶれ場合には、最近は亜鉛華軟膏+ソルベース軟膏を等量に混合したものを頻回に塗るのを試しています。結構、好評のようです。必要なら整腸剤も処方します。
7)発熱や頭痛に対する対応
:解熱剤を使用します。1~3歳児で嘔吐がある時は坐薬を、下痢が主な時には粉薬などの内服薬を勧めます。

※元気がないと思われたら、こまめに医療機関むを受診して、外来点滴も考慮して医師に相談しましょう。なるべく、入院しなくて良いようにお互いがんばりましょう。
⑨脱水症に気をつけてー子どもの嘔吐・下痢ー23.02.05

A)子どもは脱水症になりやすい

 
冬になるとロタウィルス、ノロウィルスなどのゥイルス性の胃腸炎が流行します。子ども、特に乳幼児は大人に比べて身体の水分が多いため、嘔吐や下痢によって簡単に脱水症になり、場合によっては生命に関わることもあります。
 脱水症の初期には、いつもより尿の出が悪い、なんとなく元気がないなどの症状が現れます。さらに症状が進むと、口の中が乾き、ぐったりして寝てばかりいるなどの危険な状態になります。

B)水分補給だけでなく
 
まず大事なことは、嘔吐・下痢に負けない程度のこまめな水分と、糖分、電解質(一般的には塩)の補給です。そのためには、塩分と糖分を溶かした「イオン飲料」が有用ですが、子どもには、市販されているイオン飲料では電解質が足りません。2リットルのイオン飲料に小さじ1杯の食塩を混ぜると、病院の点滴とほぼ同じとなり、吸収が約3倍早くなります。
 下痢のときは、腸の負担になる牛乳、肉、魚等のタンパク質や脂肪分の多い食物、冷たい物、糖分の多い物は控えてください。乳幼児の場合、ミルクを飲むとさらに下痢がひどくなることもあります。

 ※そんな時には、大豆ミルクなどに一時的に変更した方がよい場合もありますので、医師に相談下さい。

C)こんなときは
 
ひどい下痢だったり、イオン飲料が口から飲める状態でない場合は、点滴による治療が必要になります。迷わずにかかりつけの医師を受診してください。
 また、ウィルス性胃腸炎は伝染力が強いので、幼稚園・保育園や学校などには、きちんと治ってから行くようにしましょう。

(日医ニュースNo.333 企画:日本医師会)

⑩ORS(経口補水塩)と亜鉛 ユニセフ早分かり講座より 23.02.05
 
ここはインドのビハール洲の村。村中の人たちが集まっています。何が始まるのでしょうか?
 保健ボランティアのリタさんがみんなの前で何かを見せています。

リタ:
は~い 上手に飲んでね
 これは亜鉛の錠剤を小さじ一杯のきれいな水で溶いたものです。亜鉛は免疫力を高めてくれます。次はこれも飲んでみましょうね。今飲ませたものは、ORS(経口補水塩)です。亜鉛やORSは子どもたちの命を守る役割を果たします。

お母さん達:
どういうことかしら?
リタ:
では、このヘチマを使って説明しますね。下痢をする水分すると体から水分が失われます。だから水分を補ってあげないといけません。
 もしこのままにしておくと・・。ヘチマは干からびてしまいますね。
 ORSで水分を補ってあげるとこれが全体にいきわたります。
 ORSの溶液は水の2~5倍もの早さで体にいきわたるので、水をすばやく補えるの。

お母さん達:
なるほどね~
リタ:
下痢が続く場合は1時間おきに、少しずつ飲ませてください。
 これを2、3日下痢がおさまるまで続けてください。脱水状態にしないことが重要なのよ。

お母さん達:
これなら私にもできだわ。
リタ:
ではORSの作り方を教えますね。
 1. 手と鍋をよく洗う 
 2. 水を煮沸する 
 3. 煮沸した水1リットルで、ORS一袋を溶く
 4. 冷やして、少しずつ飲ませる 
 たったこれだけで良いのよ。
 もし、ORSの袋がない場合は、煮沸した水1リットル+塩小さじ2分の1+砂糖小さじ4杯

 
※同じような効果が得られるわよ。
お母さん達:
じゃこの子にはORSを飲ませてもらえますか? 昨日から下痢が続いていて・・・。
リタ:
もちろん!
 ORSのほかに、なるべくお粥状のものを食べさせてあげてね。
 栄養を摂らないと、元気にならないからね。

お母さん達:
分かったわ。

 
リタさんのような保健ボランティアが村を回ってくれるおかげで、村人たちはとても助かっています。 栄養のことや下痢のことなど、分かりやすく教えてくれるからです。
 保健ボランティアの活躍で、多くの子どもたちの命が守られています。


 ユニフセセフは乳幼児の主な死因である下痢性疾患と栄養不良を改善するため、こうした保健員の養成や研修を実施し、ORSや亜鉛などの提供を行っています。
  
ロタウィルスの検査と合併症  23.02.27
A)ロタウィルスの検査

 当院では急性胃腸炎の原因して、ロタウィルス感染症が疑われる時には、以下のような手順で検査を実施しています。
1)便を綿棒で少し取る。または、綿棒を肛門に直接挿入して、便を綿棒に少し付ける=検体。
2)検体を専用の試薬に浸す。
3)試薬が検体に反応して、異常の判定ができるまでに5~15分かかります。
4)検査が終了したら、「右のようなイラスト」を参考に測定結果を判定します。               
①陰性の場合:黄緑の線()が一本だけ出現する。
 ②ロタウィルスが陽性の場合:赤い線()がもう一本出現する。
 ③アデノゥイルスが陽性の場合:青い線()がもう一本出現する。
 ④ロタウィルスとアデノウィルスがともに陽性の場合:赤い線()と青い線()が両方出現する。
 この検査を受けられると、原因がはっきり分かる利点があります。病気がひどい人ほど、原因を確定するために、検査を受ける意味があります。軽症の人にとっては、治療法は変わりません。ロタウィルスやアデノウィルスに対する直接治療する薬がないのが、現時点での欠点です。 

B)合併症
 ロタウィルス感染症:軽症胃腸炎に伴うけいれんことはよく知られている。腸重積症、脳症・心筋炎などを合併症することもある。多臓器不全のための死亡例も報告されている。
ノロウィルス感染症:ロタウィルスと同じく感染力は強いが、約30%は不顕性感染となる。けいれんを起こし、最終的に急性脳症を発症した例も報告されている。
脱水症の程度と治療方法 23.02.27 
 脱水症の程度により、治療法が違ってきますので、脱水症の程度を知ることは大変重要です。
 脱水症を知る手掛かりには、食事や水分摂取が減ってきた、元気があまりない、不機嫌な時が多い、笑わない、尿の回数が減って、尿量が減った、泣いても涙がでない、寝てばかりいるなどが参考になります。一番簡単なのは、同じような条件で体重を測定することです。
 体重減少の程度により、軽症(体重減少5%未満)、中等症(体重減少5%~10%未満)、重症(体重減少10%以上)に分けられます。 体重10kgの子を例にとってお話しをします。
1)軽症の治療:体重が300g減って9.7kgとなった。まだ元気があり、水分も摂れることが多い。
 ⇒吐気を軽くする薬を必要なら与え、経口補水液を積極的に与える。
2)中等症の治療:体重が500g減って9.5kgとなった。元気が少ししかなく、あまり遊んだり、笑ったりしなくなる。おしっこの出が減って来る。水分は少し摂れるが、自分から積極的に摂ろうとしなくなる。
 ※あなたの場合、体重が急に2kg減ったと予想してみましょう。
 ⇒1)の方法が無効なら、早めに外来で点滴をする。
3)重症の治療:体重が1kg減って9kgとなった場合。皮膚は冷たく、おしっこも出ない。笑わない。
 ※あなたの場合、体重が急に5kg減ったと予想してみましょう。
 ⇒一刻の猶予もなく、命に関わる非常事態です! すぐ点滴治療が必要であり、入院治療の必要性も高い。

☆水分の必要量
 嘔吐や下痢がなくても、1日の水分の必要量は以下の通りと言われています。
1)体重10kg以下:体重(kg)×100(ml)・・体重8kgなら⇒8×100=800ml
2)体重10kg以上20kg未満:1,000+(体重-10)×50・・体重15kgなら⇒1,000+(15-10)×50=1,250ml
3)体重20kg以上:1,500+(体重-20)×20・・体重30kgなら⇒1,500+(30-20)×20=1,700ml
 ※嘔吐や下痢の時には、嘔吐や下痢のために失われた水分の補給も必要なので、その分を予想して補わないと脱水症は進行し、入院治療が必要になり、命に関わる事態になるかもしれません。
 脱水症を決して、甘く見ることなく、一緒に脱水症の予防や治療に工夫してみましょう。
 
★経口補水液による脱水症の治療
1)当院の近くでは、OS-1は第一薬局高島店、ドラッグストア森、コスモス島原店、健康堂本店なとで販売されています。
2)ソリタ顆粒には医師の処方せんが必要です。保険がきき、乳児福祉医療がある人には、払い戻しもある。最もお得です! 
 ただし、OS-1やソリタ顆粒はポカリスエットやアクエリアスなどと比べると糖分が少なく、塩分が多いので、やや塩辛く感じるのか飲めない子もいます。そんな時には、砂糖やハチミツ(ボツリヌス菌の問題があるので1歳以上に限る)を追加してはいかがでしょうか?   
保育園における感染症対策ガイドライン 23.01.30 
 病名 登園の目安 
インフルエンザ  解熱後3日を経過してから 
水ぼうそう・帯状疱疹  全ての発疹が痂皮化してから
おたふくかぜ  耳下腺の腫脹が消失してから 
プール熱 主な症状が消え2日経過してから 
流行性角結膜炎  結膜炎の症状が消失してから 
溶連菌感染症  抗菌薬内服後24時間経過してから 
手足口病・ヘルパンギーナ
発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、
普段の食事がとれること 
感染性胃腸炎
嘔吐・下痢などの症状が治まり、
普段の食事がとれること
マイコプラズマ肺炎 発熱や激しい咳が治まってから
りんご病  全身状態が良いこと
RSウィルス感染症 呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと 
突発性発疹  解熱し、機嫌がよく全身状態が良いこと
とびひ
皮疹が乾燥しているか、
湿潤部位が覆る程度のものであること 
水いぼ
 
掻きこわし傷から、浸出液が出ている時は
被覆すること
頭じらみ  駆除を開始していること 
ヘルペス口内炎 
発熱なく、よだれが止まり、
普段の食事ができること 
麻疹  解熱後3日経過してから 
風疹  発疹が消失してから 
結核 感染のおそれがなくなってから 
百日咳 
特有の咳が消失し、
全身状態が良好であること 
腸管出血性大腸菌感染症
 
症状が治まり、かつ、抗菌薬による治療が終了し、 
48時間をあけて2回連続の検便が陰性であること
 ※保育所における感染症対策ガイドライより引用(諫早市の例)
解熱剤とウィルス感染症  23.07.15 
 では、実際発熱時に解熱剤を使用するウィルス感染の治りは悪くなるのだろうか。
 水痘(水ぼうそう)において、解熱剤(アセトアミノフェン)を定時使用した群が、罹病中の患者活動性は
勝ったものの、使用しなかった群の方が痂皮までの日数は短く、痒みの程度も軽度であったと報告されている。
 なお細菌感染においても、重症敗血症患者における低体温患者の死亡率は発熱患者に比べて死亡率が高いという論文もある。
 これらの研究は、発熱自体がウィルス・細菌排除に有益であるため、解熱剤によって発熱を抑えることは感染症の治りが悪くなることを支持するものである。
 しかしながら発熱という症状は頭痛などの疼痛を引き起こし、全身倦怠とそれによる活動性の低下・食欲不振などの症状を出現させる。「痛みをとる」とこは医療の本質であり、活動性の低下・食欲不振を呈する患児に対して解熱剤は少なくともこれらの症状を緩和させるであろう。
 また、体温が高ければ病原体の増殖は抑制されるといっても、41℃以上の高熱でなければその効果は過度に期待できるものではないし現実的にそのような高熱は通常見られない。もちろんウィルス感染患児に対して安易な解熱剤の使用は慎むべきであるし、解熱剤による解熱は疾患を早く治すものではないこと、熱性けいれんなどの合併症を減らせないこと、は認識すべきである。つまり、発熱にも解熱剤の使用にもそれぞれメリットとデメリットがあり、そのバランスをよく考えることによて患者にとって有利な状況を整えてあげる必要がある。

発熱のメリット  発熱のデメリット
感染免疫能の増強 
病原体の増殖能の低下

感染の抑制
痛み、全身倦怠感、活動性低下、食欲不振、代謝亢進

安静がとれない、脱水症・栄養不良に陥る、
循環・代謝系への負担増 
解熱剤のデメリット  解熱剤のメリット 
感染の増強
副作用(アスピリンによるライ症候群など)
苦痛の除去、安静を保持、水分や栄養補給を補助、
循環・代謝系への負担減 


 その上で、適切な用量・用法による解熱剤の使用はウィルス感染患児に対して有用と考える。解熱剤の適正使用のためにガイドラインを参照することは重要である。このうちNICEのガイドライでは、発熱患児に対する解熱剤の使用は患児がdistressed or unwellの状態のときに使用を考慮すべきで、熱があっても状態が良いときは体温を下げる目的のみで使用すべきではないと提言している。
 また、イタリア小児科学会(Italian Pediatric Society)はそのガイドラインにて、発熱患児に対する解熱剤使用は、普段以上に啼泣するとき、機嫌が悪く易刺激性のとき、活動性が低下しているとき、食思不振のとき、睡眠できないとき、には使用しても良いとしている。
 我々小児科医は感染症時の解熱のメリット・デメリットを理解し、発熱を極端に心配する(fever phobia)保護者に対して解熱剤の適応と適切な使用法を説明すへきである。くれぐれも発熱したらすぐ解熱剤を使用するという行動は感染症の治療の面からも不適切であることを認識したい。

(解熱剤を使うとウィルス感染の治りが悪くなるってほんと?:長崎大学 小児科 岡田 雅彦 小児科臨床6月号より抜粋)