マイコプラズマ感染症

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マイコプラズマ感染症 24.04.01 
 最近、マイコプラズマ感染症が増えている印象があります。頑固な咳、抗生物質(抗菌薬)を投与してもなかなか解熱しない。インフルエンザでもなく、急性中耳炎の合併もなく、通常の検査では異常が全くみられないといた具合です。そんな場合には、血液を検査を実施しておいて、抗生物質を投与するのが理想的と思い。実際には、検査せずに、マイコプラズマ感染症を疑って抗生物質を投与しています。
 マイコプラズマに対する検査方法としては、細菌培養が最も確実ですが、面倒なので、ほとんど医療機関は実施していません。迅速検査キットもありますが、検査は病気の5日後くらいにならないと抗体が上昇してこないので、早期診断は難しい。初期とその二週間後のペア血清が理想的であるが、二回目の検査をすることは少ない。理由は簡単、治ったのに、「わざわざ痛い検査をもう一回受ける気はない」ということであろうと思われる。
 また、耐性菌が増えているのか、以前は良く効いていた抗生物質が効きにくなったているようです。ジスロマックやクラリス等を投与しても無効が思える例がかなりあります。そのため、小児でもミママイシンやオゼックスを使用する頻度が増えました。ミノマイシンやオゼックスの錠剤も希望が増えてきたので、薬局に置いてもらえるように手配しました。 
疫学:本疾患は通常通年性にみられ、普遍的な疾患であると考えられている。欧米において行われた罹患率調査データーからは、報告によって差はあるものの、一般に年間で感受性人口の5〜10%が罹患すると報告されている。
 本邦の感染症発生動向調査からは、晩秋から早春にかけての報告が多くなり、罹患年齢は幼児期、学童期、 青年期が中心である。病原体分離例でみると7〜8歳にピーークがある。
 本邦では従来4年周期でオリンピックのある年に流行を繰り返してきたが、近年この傾向は崩れつつあり、1984年と1988年に大きな流行があって以降は大きな全国的流行はない。2011年10月25日(火)には、マイコプラズマ感染症に学級閉鎖が初めて新聞で報告された。
病原体:病原体は肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)であるが、これは自己増殖可能な最小の微生物で、生物学的には細菌に分類される。他の細菌と異なり細胞壁を持たないので、多形態性を示し、ペニシリン、セフェムなどの細胞壁合成阻害の抗菌薬には感受性がない(効かない)。専用のマイコプラズマ培地上にて増殖可能であるが、2〜4週くらいの日数がかかり、操作もやや煩雑で、雑菌増殖による検査不能例も発生する。
 感染様式は感染患者からの飛沫感染と接触感染によるが、濃厚接触が必要と考えられており、地域での感染拡大の速度は遅い。感染の拡大は通常閉鎖集団なとでみられるが、学校などでの短時間での曝露による感染拡大の可能性は高くなく、友人間での濃厚接触によるものが重要とされている。病原体は侵入後、粘膜表面の細胞外で増殖を開始し、上気道、あるいは気管、気管支、細気管支、肺胞などの下気道の粘膜上皮を破壊する。
臨床症状:潜伏期は通常2〜3週間で、初発症状は発熱、全身倦怠、頭痛などである。咳は初発症状出現後3〜5日から始まることが多く、当初は乾いた咳である。経過に従い徐々に強くなり、解熱後も長く続く(3〜4週間)。特に年長児や青年では、後期には湿った咳となることが多い。 
合併症:肺炎、気管支炎、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギランバレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群など多彩なものがある。 
病原診断:確定診断には、患者の咽頭拭い液、喀痰よりマイコプラズマを分離することであるが、適切な培地と経験があれば難しいことではない。しかしながら早くても1週間程度かかるため、通常の診断としては有用ではない。近年迅速診断としてPCR法が開発されており、臨床的に有用性が高いが、実施可能な施設は限られている。
 臨床の場では血清診断でなされることが多い。ペア血清(1回目と2回目をおよそ2週間以上あけて抗体を調べ比較する方法)で4倍以上の上昇を確認する。1回で判定する場合は、320倍以上を陽性とする。
治療・予防:抗菌薬による化学療法が基本であるが、ペニシリン系やセフェム系などは効果がなく、マクロライド系やテトラサイクリン系、ニューキノロン系薬剤が用いられている。
 特異的な予防法はなく、流行期に手洗い、うがいなどの一般的な予防方法の励行と、患者との濃厚な接触を避けることである。 
学校保健法における取扱:本疾患は、学校において予防すべき伝染病の中には明確には規定されてなく、学校で流行が起こった場合にその流行を防ぐため、必要があれば、学校長が学校医の意見を聞き、第3種学校伝染病として措置を講じることができる疾患のうち、条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる伝染病のひとつとして例示されている。登園登校については、急性期が過ぎて症状が改善し、全身状態の良いものは登校可能となっており、流行阻止の目的というよりも、患者本人の状態によって判断すべきであると考えられている。 
☆以上は、IDWR:感染症の話 マイコプラズマ肺炎からの転写です。
  今流行しているマイコプラズマの9割はマクロライド耐性(エリスロマイシンもクラリスロマインもジスロマックもみんな)です。 
下記のURLの記事が一番まとまっていると思いますが、ここまで耐性率が高いと、「まずマクロライドで駄目だったらら次の抗生物質を考える」ではなく、最初からマクロライドを無視するしかありません。8歳以上なら迷わずミノマイシン(MINO)となりますが、8歳未満が頭の痛いところです。十分な説明と同意の上で、必要最小期間(3日間のみ〜最長でも5日間)MINOを投与するか、オゼッククス(マイコプラズマは適応症ではありませんが、「肺炎」は適応症ですので、肺炎を起こしている場合は使えます)を使うかです。後者はエビデンスがありません。一例一例についてどうするか考えるしかないところだと思います。
 http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3814.html
(2011.11.1 森内  浩幸:日本小児科学会 長崎地方会 会長)
 マイコプラズマ耐性菌について
http://strep.umin.jp/mycoplasma/index.html