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臍ヘルニア 24.05.01
A)発見動機・診断
1)発見動機
 生後間もなくへその緒が取れた後に、おへそが飛び出してくる状態が臍ヘルニアで、いわゆる「でべそ」とよばれ、外見から診断は容易である。
2)原因
 臍ヘルニアの発生機序は、生後間もない時期の臍輪閉鎖不全が原因である。泣いたり息きんだりして腹圧が加わったときに、臍輪(ヘルニア門)から(腸管ヘルニア内容)が脱出し、臍が突出した状態となる。正常新生児の4%、未熟児は出生体重1,000〜1,500gで84%に見られるといわれている。
3)診断
 臍部の柔らかい腫瘤として触れ、指で圧迫すると脱出腸管はグル音(グジュグジュとした感触)を伴って容易に腹腔内に還納でき、腹圧により容易に脱出することで確定診断できる。還納後の臍部の触診にて円形のヘルニア門を触れる。

B)自然経過
 生後数日から数週で出現し、生後1カ月頃に目立ってくることが多い。3〜6か月頃が突出のピークで、その後徐々に縮小し、腹圧の発達とともに多くは自然治癒する。
 啼泣、咳など腹圧が加われば膨隆し、腹圧低下時には消失するなど、大きさに変化が見られる。臍部の膨隆はピンポン球大ほどになることもあり、皮膚は過伸展され、光沢を帯び暗紫調に見えることもあるが、破裂することはまずなく、嵌頓もまれである。

C)標準治療
1)絆創膏固定
 自然治癒を期待して経過観察をする方法と早期から積極的な絆創膏固定を行う方法があり、その是非については議論の多いところである。乳児臍ヘルニアは1歳までに80%が、2歳までに90%が自然治癒するので経過をみるべきとした1979年の掘らの報告は、頻繁に引用され重要視されているが、一方で2000年頃から、少数派であった臍固定法の有効性を報じる報告数が増加している。
 自然治癒に比べると治癒期間が短くてすむ報告が多く、大塩らの報告では、固定60日で73.5%が、90日間で90.2%が、120日間で97.1%が治癒したと報告したと報告しており、@治癒症例が増加する、A早期に治る、また、B余剰皮膚が最小限になる、など利点が多いことになる。
 著者は、原則的に早期治癒を期待し固定法を行っている。
2)手術療法
 2、3歳以降で、ヘルニア門が閉鎖しなかった場合やね外見上著しく変形しているものが手術の対象となる。手術は余剰な腹膜を切除し、筋膜でヘルニア門を閉鎖することが重要である。

(小森広嗣他/小児科診療・2012年・2号(41)219)  
便の色から分かる病気 24.04.01
うんちでわかる病気
(うんちでわかる病気)
1)白い〜クリーム色の便@
 便生後二週間目頃、大抵の子の黄疸(黄色さ)が減り、次第に普通の乳児の皮膚色を呈してきます。中には、黄疸がなかなか減らないばかりでなく、かえって黄疸がひどくなる子がいます。そんな子の中で便が白くなると「先天性胆道閉鎖症}という病気が疑われます。今後は、先天性胆道閉鎖症の早期発見のために、母子手帳にも便の色が付いた見本(カラーカード)が掲載されるようになります。

2)白い〜クリーム色の便A
 乳児から5〜6歳未満の子が、冬場など便の色が白〜クリーム色になると、ロタウィルス感染症やアデノウィルス感染症が疑われます。

3)赤い便@(血便)
 ウィルス性腸炎や細菌性腸炎に罹ると血便を出すことがあります。腸重積症との区別が問題なります。
 ※抗生物質のセフゾンを内服していると、ピンク〜柿色の便が排泄されることがあり、ドキッーとすることがあります。この場合には、抗生物質による一時的な便の変色なので全く心配ありません。

4)赤い便A(イチゴジャム様の便)
 腸重積症が一番疑われます。腹痛、嘔吐や間欠的啼泣等他の症状があると発見は容易です。超音波検査や注腸という検査で診断や治療を行いますが、発見までの時間が24時間以上経過する手術が必要に割合が増加します。

5)黒い便(メレナ)
 胃や十二指腸などの上部消化管からの出血があると、黒い便が排泄されます。
 新生児期では、ビタミンKが欠乏するために起きる新生児メレナが多く、メッケル憩室等先天的な疾患が原因のこともあります。
 幼児以降では、胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍等後天的なものが多く、ストレスも原因の1つです。
 見た目に黒い便が出ても心配ないのが、鉄剤を内服中の時です。 
便秘

 便の固さに対する写真やイラスト
:1歳の男の子の母親です。この子が便秘なのかどうかわからりませんが、コロコロの便を出したり、肛門の所に出っ張りのような物がみられます。この子って、本当に便秘なんですか?
:排便の回数が1週間に1回以下か、または排便による症状を伴う場合は便秘と考えられます。排便による症状でよくみられるのは、腹痛、痔による出血、排便に非常に時間がかかる、顔を真っ赤にして息む等です。普通の便は、俗に「バナナウンチ」と呼ばれます。コロコロしてウンチは「兎のウンチ=兎糞(とふん)」とも言われ、ひどい便秘の時にみられます。
 「肛門に見られるでっぱり」は、『見はりいぼ』と呼びます。現在便秘がある人や少し前に便秘だった時に、肛門が切れたために出来ます。現在も便秘の人は下剤や野菜等による食事療法が必要です。
 インターネットでも「便の固さや色についての情報」が得られます。

症状
:腹痛、嘔吐、肛門からの出血など。
 実際に時間外で腹痛で来院される患者さんの大部分は「便秘」です。子どもの便秘傾向に
 気づいていない親御さんもかなりいらっしゃいます。
診断:ほとんどが臨床診断です。しつこい便秘の場合には、ヒルシュスプルング病、腸結核、大腸癌などを
 考えて大腸内視鏡や注腸による精密検査が必要になります。
治療:はっきりしない場合は、浣腸して便性を確認します。少し硬いだけのことも結構あります。
 毎日排便があっても、ウサギの糞のようなコロコロの便は、既に「便秘」になっています。
 出口まで来ているのに排便できない場合は、摘便といった、ゴム手袋をして指で、便をかきだします。
1)下剤・・何回か浣腸してもすっきりしない場合には、下剤を使用します。ラキソベロンという水薬が
 効果的であり、微量調整も簡単なので、一番人気です。この薬の効果が弱い場合には、カマグや
 アローゼンという粉薬、テレミンソフトという座薬もあります。
2)痔:ネリプロクト軟膏、ボラギノール軟膏などがあります。
予防:乳児では、お腹のマッサージ、綿棒浣腸(綿棒で肛門の出口を刺激する)、ミルク1回分に
 ひとサジ程度の砂糖を混ぜて与えることもあります。
  離乳食が既に始まっている子では、野菜(生に拘らず、食べる物を与える)、納豆、ヨーグルト、果物、
 海藻、キノコもお勧めです。 
食中毒とは:有害物質に汚染された飲食物を摂取することで起こる急激な中毒症状ないし急性感染症を発現する場合を言う。
1)原因:細菌性、自然毒、化学物質によるものに大別される。 細菌性が圧倒的に多い。

     病原体名  潜伏期間 主な症状 
細菌性   感染型 ビブリオ菌、サルモネラ菌、病原性大腸菌、
ウェルシュ菌、セレウス菌、カンピロバクター 
 8〜24時間 嘔吐、下痢、腹痛、発熱など
   毒素型 ブドウ球菌(エンテロトキシン)、
ボツリヌス菌
2〜4時間
1〜2日 
嘔吐、下痢、腹痛など 
神経症状・麻痺症状
自然毒  動物性 フグ毒 数時間 神経症状、死亡することあり
   植物性 キノコ毒、トリカブト 数時間 神経症状、死亡することあり 
化学物質   シアン化合物(青酸カリ)、ヒ素    

2)治療:ごく初期なら胃内容を嘔吐させる。必要に応じて胃を洗浄する。点滴する。急性期は絶食とし、症状に応じてお粥から再開する。

3)食中毒予防の三原則
 @菌をつけない、A菌を増やさない、B菌を殺す。
方法  @、AとBの組み合わせ 
A)肉、魚、野菜などは新鮮なものを使用し、消費期限は必ず確認する。 @とA
B)肉や魚はしっかり包んで、他の食べ物とくっつけない。  @
C)冷蔵、冷凍の必要なものはず保存する。 
 ※冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は−15℃以下。詰め込み過ぎない・・7割程度
A
D)調理の前に手を洗う。洗える食べ物はしっかり洗う。 @とAとB
E)肉や魚を調理した後は包丁やまな板は熱湯で洗う。 @とAとB 
F)冷凍食品は室温での解凍は危険。冷蔵庫や電子レンジで解凍する。 A
G)加熱する時は75℃で1分以上。ノロウィルスは85℃以上。 B
H)調理後はなるべく早く食べる。 @とA
I)時間が経ったものは捨てる。 @とA
J)蜂蜜は1歳以下の乳児には与えない。
熱 中 症
 今月(7月)19日から25日までの1週間に熱中症で病院に搬送されたのは全国で9,436人で、搬送直後に病院で死亡が確認された人が57人に上ったことが26日、総務省消防庁のまとめで分かった。入院後の死亡なども含めると、実際の死者は数倍に上る可能性もある。2008年は7月、8月を通じた死者が47人、2009年は16人で、先週の被害は過去に例のない数字となった。
 県危機管理防災課によると、県内では19〜25日に66人が熱中症で救急搬送された。65歳以上の高齢者がうち33人と全体の半数を占めた。死亡や重症のケースはなかった。
 熱中症の多発は、記録的な猛暑が原因とみられ、今後も高い気温の日が続く見込みであることから、気象庁は熱中症への警戒を呼び掛けている。
 熱中症に詳しい朝山正己至学館大教授の話
 今年は梅雨が明けた後、急に気温が上がったため、体が十分に対応できず、熱中症が多発したのではないか。屋外で注意が必要なのは当然だが、屋内て゛も窓を閉め切ったりすれば、非常に蒸し暑くなる。特に高齢者は、体温を調節する機能のほか、暑さを感じる機能も低下していることがあり、エアコンをつけるなどの対処をせずに、熱中症になるケースがある。一人暮らしの高齢者には、行政が避難を呼びかけるといった対処が必要かもしれない。(2010.07.27の長崎新聞より)

 熱中症の誘因
 @熱の産生を大きくするもの(激しい運動、運動を長時間続ける、慣れない運動を行う、寝不足・発熱などの体調不良、水分の補給不足)、A熱の放出を抑えるもの(高温・多湿な環境、風通しの悪い環境、厚着・重ね着、暑さに慣れていない初夏、衰弱、脱水状態)があります。

 熱中症の症状と対処法 
重症度 別  名 症   状 対   応
軽  症 熱痙攣 手足や体の筋肉が痙攣を起こす。 涼しい所で休ませ、運動は中止。
軽  症 熱失神 ふらふらになり、次第に意識がなくなる。  涼しい所で水分補給、病院搬送。
中等症 熱疲労  だるそうになり、動きが緩慢(かんまん)に
なる。めまいを伴う。 
涼しい所で休ませ、運動し中止。
水分補給、様子みて病院搬送。
重  症 熱射病  41℃を超える高体温になる。意識が朦朧
(もうろう)としてくる。死に至ることあり。
体を冷やし、水分補給。
緊急搬送! 

 予防
 気温が28℃を超えると激しい運動を続けるのは30分以内にして、涼しい所で休息をとり水分の補給をしっかりと行う必要がある。急に気温が高くなった日や、まだ暑い環境での運動に慣れていない間は、思わぬ条件で熱中症に陥ることがあるので注意を要する。
 例え、冷房を入れていても長時間自動車の中に乳幼児を放置すると、熱中症になることがある。
帽子をかぶったり、日傘をさすのも有効な予防法です。また、日焼けのことも考慮して、日焼け止めクリームを塗ったり、長袖の服を上手に着用することをお勧めします。
 湿度が高い時、特に60%以上になると、汗が気化し難くなり熱中症が発症しやすくなる。
 日陰にいても、水分補給に気をつけましょう! 
日焼け
主に、紫外線散乱剤を含む製品と紫外線吸収剤を含む製品の2種類に分けられます。前者は後者に比べて効果は落ちますが、安全性が高いため、日本でも市販されている製品で、ベビー用や子ども用と称しているものは、紫外線散乱剤である酸化チタンを含んでいるものがほとんどです。
 日焼け止めには、現在、SFPというUVB波に対する防御指数を表す値が記されています。子どもには、どのような数値を薦(すす)めたらよいのか、あるいは、どのような使い方をすればよいのかを表に示します。また、日焼け止めについては塗り方が大切で、あまり薄くのばしてつけたのでは、効果がありません。 
☆出典:佐々木 りか子:小児に使用するスキンケア製品の選び方と使い方。
 外来小児科 Vol.13 No.1 2010。(22.06.21)

普段での使い方  @晴れた日の午前10時〜午後2時に戸外へ出るときに使う
A低刺激性(ベビー用など)のSFP20以下のものを選ぶ
B衣服から出ている皮膚に塗る
C2時間に塗りかえる
Dお薬や保湿剤をつけるときは、その上からつける
Eお風呂のときに、石鹸や洗浄料でよく泡立てて洗い、よくお湯で流す
プール・海・山での使い方  @普段と使い方の基本は同じで、SFP20以上のものをつける
A汗や水に強い、ウォータープルーフのものを使うとよい 
 
汗疹(あせも)
原因)
日本の夏は、高温多湿なので、汗疹もが出来やすい季節です。
 大量に汗をかいた時に汗管が閉塞すると、汗が表皮に流出することができなくなり、汗は貯留して汗管の拡張と破裂が起きます。その結果、汗疹ができると考えられています。

症状)
額、首の周囲、胸、背中、お尻など汗の出やすい所に多くみられます。
1)紅色汗疹・・汗が表皮内に貯留した時は紅色丘疹、小水疱または膿疱となり、チクチクした痛みと痒みを伴う。これを紅色汗疹という。しばしば湿疹化して、汗疹性湿疹となり、あるいは二次感染を伴って多発性汗腺膿瘍(あせものより)を生じる。
2)水晶様汗疹・・過量のエクリン汗が角層内や角層下で貯留すると、浅いせいで透見される水疱となります。掻痒(そうよう)を伴わず、まもなく乾いて疱膜は白色の菲薄な鱗屑となります。これを水晶様汗疹と言いいます。炎症を伴わないため、痒くないのが特徴です。


治療)
A)薬剤を使用しない治療法(=予防法)
 @汗をかきっぱなしにしない
  1)汗を吸いやすい肌着を着用する(ガーゼ、木綿など)。
  2)汗をかいたらこまめに着替える。
  3)裸でいるとかぇって汗疹ができやすいので、薄着をする。
  4)発汗時に清拭・沐浴・入浴・行水などを行い、皮膚を清潔に保つ。
 A涼しくする
  1)クーラーを使う(冷やし過ぎないよに、25〜30℃)。
  2)扇風機を使う(やや遠くから微風〜中くらいの風で)。
  ※強風を直接赤ちゃんの口の近くに当てると呼吸ができなくなるので、注意が必要です。
  3)頭に汗疹が多い子には、アイスノンや冷えピタを試してみる。
 ☆汗をかくことも大切です!
  人間が体温を一定に保つことができるのは、汗腺の働きによるところが大きいと言われています。いつも快適な環境におかれると体温調節をする必要がないので、気温の変化についていけなくなってしまいます。赤ちゃん時代にたつぷりと汗をかくことは大切なことです。

B)薬剤を使用する治療法
 @軽  症・・カラミンローション、イオウカンフルローションなどを外用する。有効性は低い。
 A中等症・・湿疹化している場合には、ロコイドクリームなどのステロイド剤を塗り、
        痒みが強い場合には、抗ひすたみん剤・抗アレルギー剤などの痒み止めを併用する。
 B重  症・・汗腺膿瘍(あせものより)を起こしている場合には、「とびひ」と同様に抗生物質の内服
        アクアチムクリームやイソジン消毒液などによる消毒が必要になります。 (22.08.16)
痣(あざ)
A)赤痣
 赤痣の中で最も多いのは「血管腫」です。全身のどこにでも出来ます。先天性に血管の一部が異常を起こした状態を日本では、
一般に「血管腫」と呼んでいますが、腫瘍ではなく奇形の一種です。そのため、「血管の奇形」と言ったほうがいいかもしれません。
 写真1、2のようなイチゴ状血管腫は、生下時にはなにも分からないか、あってもわずかに赤い程度の病変が、数カ月かけて急速に大きくなって盛り上がってきます。生後6カ月前後で増大は止まり、今度はゆっくりと自然に消え始めます。治療しなくても小学生までに完全に消えてしまうことが多いのですが、皮膚が伸びきったり、瘢痕が残ったりします。イチゴ状血管腫が完全に消えてしまうのは、直径1cm〜2cmくらいまでの小さいものか、皮膚表面からほとんど盛り上がっていないものです。隆起が大きいものほど瘢痕を残さ可能性が高いので、新生児期からの対応が望ましい。
 写真3のようなものを単純性血管腫またはスタージ・ウェーバー症候群と呼んでいます。左の三叉神経領域にある血管腫ですが、見た目以上に大きなもんだいをかかえていることがあります。眼科的には、緑内障のたに眼圧が高くなり、失明する危険性があります。神経内科的には、脳内に石灰化がみられることがあり、難治性けいれんや知能低下を起こすことがあります。皮膚科・形成外科的には、血管腫に対するレーザー治療が勧められます。
 写真4〜6のような正中部母斑(サーモンパッチ)は顔面のほぼ中央に見られ、赤色ないし暗赤色のあまり盛り上がらない痣で、出生児の30%くらいの頻度に見られます。まぶた(瞼)、額、上唇などによく見られます。概(おおむ)ね、数週間で消えてしまいますが、時には1年以上消えません。前額部のサーモンパッチの自然消失率は、1歳半で80%、3歳で90%、9歳で95%です。中央にあるものは額にあるものより消えやすく、ほぼ3歳までに100%消えます。レーザー治療が有効ですが、完全に色調が消せるとは限りません。
 写真7のような後頭部の赤色の痣はウンナ母斑と呼ばれますが、これは50%ほどしか消えないので、成人になっても残る人が多い。
 どのタイプにもできるだけ早期からのレーザー治療が勧められます。月齢が進むにつれて、照射時の抵抗が激しくなるので、月齢が低いうちの方が照射が楽にできます。小さい子にレーザー治療する場合には、全身麻酔が必要です。
 大きいもの手術で切除することもあります。皮膚の後遺症に対しては形成外科的に対応します。その他、特殊なファンデーションでメークアップする方法があります。

B)黒痣
 
写真8、9のような黒痣を色素性母斑と呼んでいます。生後すぐから黒痣がある場合には、先天性の色素性母斑を考えます。我が国から報告される15歳以下の日本人の悪性黒色腫(メラノーマ)は年間数例とまれです。そのうち先天性黒色母斑から生じた報告は少ない。数cm大に至るものでも良性に経過し、小児期に悪性化するのは極めて稀です。
 黒い痣には、円形、楕(だ)円形で数cm程度のものが多い。10cmをはるかに超え、体幹を覆(おお)うような病変は巨大色素性母斑とも呼ばれます。
 治療の目的のほとんどは美容(整容面の改善)で、外科的切除を行います。多くは切除をためらいレーザー治療を希望される養育者が多い。大きいものは数回に分けて手術し、植皮なども
考慮します。切除後の縫合線が残るのは避けられません。
 家族が切除を希望されない場合には、レーザー治療を行います。色は完全にはとれませんが、縫合線のような傷跡は残りません。健康保険の適応はありません。
 色素性母斑の診方として、悪性黒色種の併発の有無を見るには、黒色部分と隆起した部分に特に注目してみていくというのが基本です。もし皮膚生検をするのであれば、黒色で隆起した部分から行うのがいいでしょう。
 巨大色素性母斑では、美容面のほかに悪性黒色種の発生を予防する意味で治療します。通常は植皮などで母斑部を被覆しますが、組織拡張器を用いて健常皮膚を引き伸ばしておき皮膚欠損部分を覆う方法は仕上がりが綺麗(きれい)です。

C)青痣
 蒙古班は白人にはみられず、アジア人特有の病気なので、人種的な要因が考えられます。
 蒙古班は日本人では90〜100%にみられます。おしり、背中の青色の痣ですが、手足や顔に見られる異所性のこともあります。概(おおむ)ね1歳頃から消え始め、4〜5歳頃までに消えてしまいます。しかし、異所性蒙古班の場合には、なかなか消えません。
 写真10のような顔面に出来る青色の痣を太田母斑と呼んでいます。生後1年以内と思春期に出来たり、拡がったりすることが多く、まず自然には消えません。将来悪性化することはありませんが、思春期より色が濃くなります。患者の精神的な負担も少なくないので、なるべく治療ができるように配慮しましょう。発生頻度は500人に1人程度と考えられています。遺伝はしません。男女比は1:4で女児に多い。全例レーザー治療の適応があります。幼少児に治療した方が効果も高く、精神的負担も軽減します。大人になってからの治療も可能です。
 写真11、12のような色の濃いものは、生涯消えないので、レーザー治療が勧められます。淡色であれば、かなり自然に消えます。レーザー治療時には、疼痛がありますが、個人差があります。表面麻酔でも可能であるし、無麻酔でも可能です。

 
D)茶痣

 写真13〜16のような茶痣を扁平母斑と呼んでいます。まず自然には消えません。
 また、円形、楕円形、扁平で盛り上がりがなく、辺縁にギザギザがなく丸未を帯びたミルクコーヒー色から褐色のまだら(斑)をカフェオレ斑と言います。数は1〜2個のみの場合には、扁平母斑と言います。数が6個以上と多いものや大きいものは神経線維腫の1型の可能性がありますので、精密検査が必要です。
 神経線維腫は、2,000人に1人発症し、皮膚、神経、骨、眼の症状を起こす良性腫瘍なので、専門施設での長期フォローが必要です。
 皮膚には、多数のカフェオレ斑が見られ、その部に神経線維腫が多発してくるかもしれません。神経症状では、10歳までの小児にとり、重要なのは高率に起こる「けいれん」のコントロールです。骨の病気では、背骨が曲がる側弯症、下腿骨の湾曲。眼では、先天性緑内障が問題です。
 写真16のような腰臀部から下腹部の大型の扁平母斑を見たら、McCune-Albright症候群を考えて精密検査を行う必要があります。この病気では、思春期草発症がみられ、骨折しやすいのが特徴です。
 カフェオレ斑に対してレーザー治療も可能ですが、再発率が30〜70%と高く、効果が一定しない。神経線維腫は目立つものや、大型のものは外科的に切除します。



写真1:イチゴ状血管腫
(左手上腕)


写真2:イチゴ状血管腫
(右前額部)


写真3:単純性血管腫
(スタージ・ウェーバー
症候群・・左顔面)

写真4:サーモンパッチ
(前額部中央)


写真5:サーモンパッチ
(鼻下中央)

写真6:サーモンパッチ
(右上眼瞼内側3分の1)

写真7:ウンナ母斑
(項部中央・・うなじ)

写真8:色素性母斑
(右下肢)

写真9:色素性母斑
(左腰部)

写真10:太田母斑
(左顔面・・三叉神経)

写真11:異所性蒙古斑
(右下肢)

写真12:異所性蒙古斑
(右上腕)

写真13:扁平母斑

写真14:神経線維腫症
1型(カフェオレ斑多数)

写真15:神経線維腫症
1型(カフェオレ斑多数)

写真16:扁平母斑
(腰臀部、下腹部)
★引用文献
1)南山堂から出版されている「こどものあざによくみられる50症状」。
著者は愛育病院皮膚科部長 山本一哉監修。国立成育医療センター皮膚科部長 佐々木りか子 著。
 その他では、小児科雑誌の「小児科」の2010Vol.51.No5 4月増刊号で特集 子どもの皮膚疾患の診かた(金原出版株式会社)。(24.01.30)
熱性けいれん
 冬になると、インフルエンザに伴う熱性けいれんが増えます。通常は救急車による緊急受診は必要ありません。以下のことを参考に、まずは主治医に電話でご相談下さい。
 熱性けいれんとは:通常38℃以上の発熱に伴って乳幼児期に生じる発作性疾患で(けいれん、非けいれん性疾患も含みます)で、髄膜炎、脳炎・脳症などの中枢神経疾患やその他原因の明らかなものを除きます。

 単純型と複合型の区別:一番多いタイプは単純型で、髄膜炎や脳炎の化膿性が低く、将来てんかんになったりする危険性が少ないタイプです。以下のような特徴があります。
01)てんかんの家族歴がない。
02)分娩外傷その他の原因となりうる疾患の既往がない。
03)発病年齢が生後6カ月〜6歳未満。ピークは1歳頃。
04)発作の持続時間が最高20分未満。5分未満が約70%。
05)けいれんに左右差がなく、特別な症状がない。
06)発作終了後には、意識障害が持続しない、片麻痺が残らない。
07)明らかな神経症状、知能障害・性格障害がない。
08)発作が短時間に頻発することがない。
09)発熱から24時間以内にけいれんを起こすことが多い。12時間以内が約70%。

※1)〜9)のうち1項目以上一致しないものを全て複合型と言います。けいれん時の体温が38℃未満で、後で上昇してくる例や37.8℃くらでけいれんを起こす例は複合型熱性けいれんに入ります。

 A)プライマリーケア
1)発作の際の家庭での応急処置
@あわてない、落ち着くこと。
A衣服をゆるくす。(特に首のまわり)。顔を叩いたり、揺さぶったりしない。
B頭部を体より低くし、あお向けにして顔を横に向け、頭部を後にそりぎみにする。吐物、分泌物が口の周り、鼻孔にたまっていたら、ガーゼなどで拭き取る。歯をくいしばっている時でも、口の中に物や指を絶対に入れない!
 ⇒かえって、窒息やケガのもとになるからです。
C体温を測定し、発作の長さ(持続時間)とけいれん様子(左右で違わないか、眼球の動き、眼球がどらちを向いているか等)を観察記録する。
 ※デジカメの動画やビデオ撮影も非常に役立ちます。
D口から薬や飲み物・食べ物をしばらく与えない。意識がはっきりしてきたのを1時間くらい様子を見て、水などから与えてみる。
Eもとにもどるまで必ずそばいる。意識が戻った時に誰も側にいないと、泣くだけでなく、どのように行動するか不明で危険です。

2)緊急に医師受診が必要な場合(@〜Dのいずれかの場合)
@発作が10分以上続くとき。
A短い間隔で繰り返し発作が起こり、この間意識障害が続くとき。
B身体の一部の発作、または全身性であるが部分発作が主な場合。
C初回発作、特に1歳未満の場合。
D発熱と発作に加え、他の神経症状を伴うとき(意識障害が続く、手足の麻痺がみられる)。
※大部分は救急車は不要です。消防署に電話しても構いませんが、けいれんが止まっているなら、なおさら救急車は必要ありません。
 経験的に言うと、救急車で行くと決まったら、帰りのことを考えて誰かは自家用車で後で病院や診療所に向った方が何かと便利です。

3)発作持続時の救急処置
@呼吸・循環の維持:けいれんすると息が止まり、死んでしまうのではないかと心配されると思いますが、実際にはけいれんだけでは死ぬことはありません。
Aけいれんの抑制:病院や診療所では、けいれんが止まっていなければ、酸素吸入、点滴やけいれん止めの薬を坐薬(ダイアップ)か注射(セルシン)で使用します。自宅では、以前にもらっていたダイアップ坐薬があれば、すぐ使用しましょう。
B高熱に対する処置:アンヒバ坐薬などはけいれん止めのダイアップ坐薬とは30分以上の間隔を開けて使用します。意識がはっきりしない場合やけいれん直後なら内服薬より坐薬をお勧めします。
C原因を調べる:発熱の原因の大多数はウィルス性疾患で急性上気道炎(かぜ)であり、時に尿路感染症およびその他の細菌感染症です。急性咽頭炎、急性胃腸炎、インフルエンザ、突発性発疹や予防接種による発熱が原因になることもあります。
 ※季節的には、冬(多分、インフルエンザが多い)と夏にピークがあります。 (22.12.31)
薬の使い方と保存
☆回数と間隔:食前使用のナウゼリンなどの特殊な薬を除くと食事こだわらない。
1)1日1回:シングレア錠やホクナリンテープなどで、夕食後から寝る前までに内服したり、貼付します。24時間くらいの持続効果が期待できま。
2)1日2回:ザジテンなどの抗アレルギー薬なとで、朝食後と夕食後に8〜12時間くらい間隔を開けて使用します。
3)1日3回:毎食後、3〜4時間開けて使用するのが原則です。例えば、朝8時、午後2時、夜8時が一番ベストです。小学生以上では、昼食時に学校で服用できない場合には、帰宅後すぐ内服し、夜の分をそれから3〜4時間開けて内服しも構いません。
4)1日4日:水痘や口唇ヘルペスなとでは、抗ウィルス薬の持続効果が短いので、4時間毎に内服させます。例えば、朝8時、昼0時、午後4時、午後8時の4回を基本として、3時間以上は開けること。

★水薬使用上の注意点
a)飲ませ方:注射器やスポイトで計量し、そのまま与えるのが原則。リンゴジュース、オレンジジュースなどに混ぜたり、パンなどにしみこませたりしても良い。
b)保存:冷蔵庫で保管しても1〜2週間経過したら処分して下さい。
c)その他の注意点:冷蔵庫の出し入れ時や計量している時に「こぼしてしまう」危険性があります。2〜3歳の子がいるとジュースと勘違いして一気飲みする危険性もあります。

★粉薬使用上の注意点
a)1歳未満の子にやってはいけないこと
 @ミルクに混ぜる⇒ミルク嫌いになる可能性がある。
 A粉薬を口の中に一気に入れる⇒気管に薬が入ると咳がなかなか止まらない。
 Bハチミツに混ぜる⇒ハチミツの中にボツリヌス菌が混入していることがあり、筋肉の麻痺が起きる危険性があります。
b)粉薬を何かに混ぜるなら
 @水や白湯で粉薬を溶かし、だんご状にして指かスプーンで口の中に少しずつ入れる。
 A年齢にもよれが、牛乳等で味をまろやかにする。パニラアイス等で冷たくして味覚をにぶらせる。チョコレート等で甘くする。オブラート、○○ゼリー、カレーライス等で味をかくす。
c)薬の保存:乾燥剤と一緒に空き缶、空き瓶、ビニール袋等に入れて密閉すると数カ月は保存できます。
 光・温度や湿度に注意しましょう。しばらく経過したものを飲ませる時には、1)色の変化わ見る、2)振った時のサラサラ感を調べる、3)親が味見をしてみる(お殿様の毒味役になったつもりで。これに合格しないものは、迷わず処分して下さい。変な薬を与えるより、与えない方がましに決まっています。できましたら、1回目に薬を飲ませる時に、1)〜3)を事前に確かめておくことをお勧めします。

★坐薬使用上の注意点
a)保存:よく使用する解熱剤は冷蔵庫に入れておくと1〜2年は持ちます。室温で保存可能なものもありますが、家庭では冷蔵庫で保管しても問題ありませんので、坐薬は冷蔵庫で保管するものと思ってもらっても結構です。
b)使用法:赤ちゃんでオムツを替える体勢にして肛門から指で入れます。坐薬を手で暖めたり、坐薬の先にオリーブ油やベビーオイル等を塗ったりすると、無理なくスムーズに入ります。
c)切って使用する場合:1回に1/2とか2/3とかに切って使用する場合には、入れ物のビニール毎ハサミか包丁で切ってから使用しましょう。

★点眼薬使用上の注意点
a)保存:開封した目薬は暗い所か冷蔵庫で保管し、1カ月くらい経過したものは処分しましょう。
b)乳幼児の点眼法:仰向けに寝かせ、お母さんの股で頭を固定します(馬乗り型)。または、子どもを寝かせて脇を足ではさんで、頭を押さえて点眼する方法(プロレス型)もあります。目をつぶった状態で目頭付近に点眼し、まばたきするのを待ちます。
 または、母親と祖母、両親というように二人でペアを組み、抑え係と点眼係を決めて、とにかく一気にするのがコツです。
c)年長児の点眼法:頭を少し後に傾けて座らせます。下まぶたをひっぱりながら上を見せて点眼します。
d)らくらく点眼V、ニューらくらく点眼という便利なグッズもあります。

★点耳使用上の注意点
a)保存:室温で保管し、1カ月経過したものは処分しましょう。
b)使い方:子どもの頭を後に傾け、口で呼吸させながら一滴滴下(またはスプレー)します。

★ステロイド外用薬の使用上の注意点
a)保管:室温で結構長く保存できます。
b)指の第一関節より先くらいの分量(0.5〜1.0g)を大人の手の平2枚分くらいの範囲に伸ばして塗ります。多過ぎず、少な過ぎないの゛コツです。
 
粉薬の飲ませ方 23.05.16
1)服薬指導の実際 
a)服薬の必要性をの理解してもらう
 服薬の必要性を理解させることは、薬を適切に服用してもらうために重要なことである。小児の抗菌薬の服薬コンプライアンス率を調査した研究では、最後まで必ず服用する回答したのが全体の44%であった。理由として治ったと思ったがもっとも多く、次いで服薬困難、忘れた、副作用が出たなどの回答があつたと報告されている。単に薬効を説明するだけではなく、病態と薬の関係を理解してもらうことによって服薬に対する意識が高まる。さらに、症状が回復すれば服薬を中止していいいのか、最後まで飲みきることが必要なのか否かを理解させることで、服薬コンプライアンスの向上につながると考えられている。
 副作用に関しては、代表的な副作用とその初期症状を伝えることが、速やかに医療機関にかかるべきなのかなどの対応の選択の助けとなる。しかし、すべての情報を伝えることは保護者の不安をあおり服薬拒否を招きかねない。保護者の理解度や性格によってどこまで伝えるべきかを判断する必要がある。
 また、患児自身にも服薬の必要性を理解してもらうことは服薬コンプライアンスを向上させるためにも必要である。薬の必要性を理解すると、それまで飲めなかった薬を頑張って飲めるようになる患児も多くみられる。

b)いつ内服させるか
 服薬回数を守ることは薬物治療を適切に行うために必要である。薬は食後投与の指示で出る事が多い。しかし症状によっては摂食できなかったり、乳児ではミルクの時間が不規則になることがあり服薬回数を守れないことにつながる。とくに乳児はミルク後であると満腹で薬が飲めなくなることがあるため、場合によっては授乳前や食事の前、もしくは食事と関係なく薬を与えてもいいことを伝える。

c)どのように飲ませるか
 @乳児期
 散剤は少量の水で練って上顎や頬の裏側に塗りつけてから水を飲ませるのが基本といわれているが、塗りつけるのが難しい場合がある。そのため少量の水(飲みきれる量)を加えて液状にしてスポイトやシリンジ(注射器)、哺乳瓶の乳首などで与えるのも良い方法である。なお、薬をミルクに混ぜることとミルク嫌いになる原因になるため避けるように指示する。
 A幼児期
 自我が目覚めてくる時期であるのでさらに工夫が必要になることがある。まずは成長にあわせ、なぜ薬を飲まないといけないかを話し、飲めた後はしっかりほめてあげるように保護者に対し指導する。きちんと飲めたらカレンダーにシールを貼って自分が頑張ったことが目に見えるように工夫したり、ご褒美を用意するのもよい。
 飲ませにくいときは単シロップで甘味をつけたり、ジュースや食品に混ぜて服用させてもよい。まぜる食品として、練乳、苦味をマスクしやすいチョコレートやココア、冷たく味を麻痺させるアイスクリーム、バナナ、ピーナッツクリーム、プリン、ヨーグルトなどがある。また、甘いのが嫌いな場合は味噌汁やポタージュスープ、のりの佃煮なとが好まれることもある。薬を混ぜる食品例を表1に示す。最近は服薬補助用のゼリーも市販されているため、そのようなものを活用する方法もある。食品を用いて薬を服用させる際は、混ぜすぎず薬をはさみこむようにすると味を感じにくい。
 
 <飲食物に混合する場合の注意>
 混ぜる場合は飲みきれる量に混ぜる。また、混ぜるものによっては味がまずくなったり、薬の力価(効き目)が低下することがあるため注意が必要である。
 例として、マクロライド系の薬(クラリスロマイシン、ジスロマックなど)は酸性でコーティングがはがれ苦味がでてくるため酸性の飲料や食品(オレンジジュース、スポーツ飲料、乳酸菌飲料等)と混ぜないこと。また、混ぜた後に時間をおくとコーティングがとれ苦味がでることもあるので、混ぜた後は速やかに飲ませるように指導する。
 一歳未満の乳児の場合は、ハチミツにより乳児ボツリヌス症(呼吸筋の麻痺を起こし、呼吸できなくなる)を発症する危険があるので、ハチミツは与えないように注意する。

          表1:薬と混ぜる食品例と特徴
食品例  特徴 
コンデンスミルク
ピナッツクリーム 
甘みが強く粘り気があるので、薬の食感や味をマスクしやすい 。
チョコレート
ココア 
味が濃くとくに苦味の強い薬をマスクしやすい。 
バナナ  香も強くにおい味をマスクしやすい。
ペースト状にし、薬を挟み込むようにするとよい。 
アイスクリーム  味が濃く、味をマスクしやすいとともに、冷たいので味覚を麻痺させる。
味噌汁、ポタージュ、
のりの佃煮
甘味が嫌いな子に適している。
プリン  甘味が強く、カラメルの苦味により苦味のある薬をマスクすることもできる。 
ヨーグルト  混ぜると苦味が出たり、薬効が低下するものもあるので注意が必要。 
  
(殿塚早百合、村上桂子、片山志郎:薬の服薬指導、坐薬の使用法/小児科2011年4月臨時増刊号/乳幼児診療AtoZ p733-737/金原出版/7,560円)    
汗疹(あせも) 23.06.30
母:汗疹の一番の原因は何ですか?

医師:高温・多湿が最大の原因です。そのため、日本では、梅雨時から夏にかけて多発します。

母:どんな症状がみられますか?
医師:汗疹は大きく分けて、二種類あります。紅色汗疹(赤いあせも)と水晶汗疹(白いあせも)です。
1)紅色汗疹・・汗が表皮内に貯留した時でき、チクチクした痛みや痒(かゆ)みを伴う。
 このタイプはしばしば湿疹化して、「あせものより」を生じやすい。
2)水晶汗疹・・過量の汗が角層内や角層下に貯留する。浅いせいで透見される。痒みは伴わない。

母:どんな治療法がありますか?
医師:症状に応じて治療します。
1)軽症・・カラミンローションやイオウカンフルローションなどのいわゆる「あせもローション」が良く使用されています。市販品では、桃の葉ローションが有名です。
2)湿疹化している場合には、ロコイドクリームなどのステロイド剤が使用されます。痒みがひどい場合には、痒み止めの内服も有効です。
3)重症・・「あせものより」や「とびひ」を起こしてしまった場合には、抗生物質(抗菌薬)の内服を基本とし、イソジンで消毒したり、アクアチムクリームなどの抗菌薬の外用も併用します。

母:汗疹の予防や治療に関して、自宅でできることはありませんか?
医師:@「汗をかきっぱなしにしない」、Aと「涼しくする」が有効です。
@汗をかきっぱなしにしない
1)汗を吸いやすい肌着を着用する(ガーゼ、木綿など)。
2)汗をかいたら小まめに着替える。
3)裸でいるとかえって汗疹ができやすいので、薄着をする。
4)発汗時に清拭・沐浴・入浴・行水などを行い、皮膚を清潔に保つ。

A涼しくする
1)クーラーを使用する。冷やしすぎないように、25〜30℃の厚く感じないぎりぎりに設定する。
2)扇風機を使う。赤ちゃんの口の周囲に強風が吹くと息ができないので、なるべく微風にする。また、クーラーをやや高めに設定し、扇風機も併用する。
3)頭に汗疹が多い子はアイスノン枕を試してみる。

 ☆しかし、汗をかくことも必要です。
 人間は体温を一定に保つことができるのは、汗腺の働きによるところが大きいと言われています。いつも快適な環境におかれると体温調節が必要ないので、気温の変化についていけなくなってしまいます。赤ちゃん時代にたっぷりと汗をかくことは大切なことです。
虫刺され(主に蚊)  23.06.30
母:うちの子はよく蚊に刺されるんですが、体質でしょうか?

医師:蚊に刺されること自体は体質ではありませんが、アレルギー体質の子は、他の子より赤く、大きい腫れがちです。 

母:蚊に刺されたら、どうしたら良いのでしょうか?

医師:薬が何もないところでは、水で洗ったり、氷で少し冷やしのも有効です。反対に、風呂などで体が暖まるとよけいに痒くなります。
1)軽症・・ムヒなどの抗ヒスタミン薬を塗ります。
2)中等症・・リンデロンVなどのステロイド剤を塗ります。それでも、痒みや腫れが目立つ場合には、抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)やステロイド剤を内服します。これらのひっかく傷にばい菌が侵入すると、「とびひ」となります。そんな場合には、抗菌薬の内服や外用も必要になります。
3)重症・・ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)7やステロイド剤を注射したり、点滴、酸素吸入が必要になったりする例もあります。
 ※幸いにも、蚊に刺されたくらいでは、重症になることはまずありませんが、蜂や多数の蟻にかまれた場合には、アナフイラキシーやアナフイラキシーショックを起こすこともあります。 

母:蚊に刺されないためには、どうすれば良いのでしょうか?

医師:確実に蚊に刺されない方法というのはありませんが、以下のようなことは試してみる価値があると思われます。
1)自宅では、よく使用する部屋毎に「蚊取り線香」を設置しましょう。食堂、リビングや寝室と自分達と同時に移動するのも可。
2)夕方から夜間にかけて外出する時には、薄手の長ズボンや長袖なと゛を着用し、できるだけ肌の露出を避ける。昼間であっても、薄暗い、蚊の多そうな場所を通る場合も同様です。
3)防虫スプレーもありますが、小さい子には臭いがきついし、眼に入るとしみるので、塗り薬の方をお勧めします。防虫スプレーは6カ月未満の子には、DEET(ディート)が含まれているので、勧められません。

母:蚊取り線香による事故を予防するためには、どのようにしたら良いのでしょうか?

医師:
1)火傷・・昔ながらの蚊取り線香では先端部分、電気式の蚊取マットでは「線香を熱する部分」を指で触れると火傷します。小さいのいる家庭では、このようなものでなく、液状のものがお勧めです。
2)感電・・濡れた手や指で電気式の蚊取マットの「コンセント部分」を触れると感電することがあります。小さい子のいる家庭では、小さい子が触れない場所(高い所や目に見えない所)に設置しましょう。
3)誤飲・・小さい子は使用中の蚊取マットや未使用のものを袋毎口に入れてしまうことがあります。一枚くらい食べても命には異常ないと思いますが、窒息の危険性もあるので、このようなもの自体が小さい子にとっては危険です。液状のものを手の届かない場所に設置しましょう。  
場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)23.09.02
 日常診療において、この子はあまり話さないなあと、思われる子をみかけます。
 家庭で普通に話せても、幼稚園・保育園・学校やクリニックなど特定の状況で話せない子を対して症状をさして、「場面緘黙(ばんめんカンもくしょう)」とか、「選択的緘黙」とか言います。出現率は0.2〜0.5%くらいです。情報交換のためのネットワーク団体があります。詳しくは、かんもくネット(http://kanmoku.or/)まで!

原因:なぜ場面緘黙になるのか、まだ詳しいことは分かっていません。緘黙児の多くは、生まれながら「行動抑制的な気質」をもつと言われています。新奇なものに対して感受性が高いため不安になりやすく、新しい環境に慣れるのに時間がかかります。まじめで繊細、想像力豊か、芸術的センスをもつ子どもが多いようです。
 子ども達は他に特に問題なく、話すことが必要な場面以外では、たいてい年齢相応の成長をみせます。軽い言葉の遅れ、発達障害の傾向、感覚過敏、排泄障害などをあわせもつこともあります。

早期対応と支援が必要です
 場面緘黙の子どもはおとなしく、学校で見過ごされがちです。保護者が場面緘黙に気づいていない場合もあります。また、保護者が子どもの状態に落ち込んでいたり、保護者も繊細で気を遣うタイプであるため、学校や相談機関に支援を求めることを控えてしまう傾向があります。
 自然に任せておくだけでは、子どもの状態がよくなる保証はありません。入園入学後、通常慣れるまでにかかる期間が過ぎても子どもが話さないときは、特別支援教育コーディネーターやスクールカウンセラーは、対応や支援を始めるべきです。

保護者に対してできること
 場面緘黙児への支援は、家庭と学校が協力しあい、継続的な情報交換を行いながら取り込むことが大切です。
 場面緘黙の回復はゆっくりで取り組みは長期に渡ることが多いです。そのため、保護者には精神的なサポートが必要です。

基本方針は?
『楽しく・自信をつけながら、場数を踏む』
1)話すことを強制しません。
2)初めは身振りや仕草で、言葉を用いないコミユニケーションを十分奨励し、その状態に慣れてしまわないよう徐々に発話に近づけていきます。
3)今安心して話せる状況から、スモールステップで話せる場所や人を増やし、学校の教室へと場所を移していきます。
4)子どものペースで進めます。

子ども達に対してできること
1)場面緘黙を不安から生じる症状ととらえ、安心できるような幼稚園や学校の環境を整えます。
2)子どもは「まだ話し出していないだけ」です。家庭や学校で、常にポジテイブな言葉がけを行います。
3)たくさん話しかけてください。最初は目を見つめず横位置からがよいでしょう。得意な活動を見つけ、さりげなくほめて自信を持たせます。

よくない対応
1)発語を強制する。
2)話さないことを責める。
3)サポートせずに、そのままにしておく。

正しい対応
1)不安を減らし、リラックスできる環境を作る。
2)できるだけほめて、自信を育てる。
3)安心できるコミュニケーションを促進させる。

※事前アナウンス、事前ノハーサル、ゥオーミングアップ、前倒し、慣らし運転を心掛け、この子に思い悩んだり心構えする時間を与える。
 癖はストレス解消法なので、お母さんが止めろと言って来なかったのは正解です。今後は髪いじりしたら、「上がっちゃいそうなんだね、髪いじってリラックスしよう」と声掛けして励まし、オロオロした気持ちが落ち着くように関わって下さい。子の子が気にいっている物をポケットに入れて行くとかして、"安心グッズ"を作って下さい。

引用
1)石川 丹(あかし):過度の恥ずかしがりのため特別支援級を勧められたが普通学級に入学し適応している6歳例。小児科臨床 2011年9月号(第64巻) p2035-2037
2)場面緘黙児支援団体 かんもくネット:場面緘黙児の対応と支援