ポストアタッカー

近未来アクションSF、ちょっぴりアンドロイド少女とのラブ。
戦後通信手段が破壊され盗賊強盗が闊歩する町で、特に重要な郵便物の速達業務を行う郵便局のポストエクスプレス。
その配達員は、ポストアタッカーと呼ばれていた。
ポストアタッカーのサトミ・ブラッドリーは、ある日追われて事故で大破した車中の女からアンドロイド少女エリーの配達を依頼される。
果たしてその行く手にあるものは?

>>その1(1〜3)
>>その2(4〜6)
>>その3(7〜9)
>>その4(10〜13)完結

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**お礼画面に掌編あります。(現在連載中の、赤い髪のリリスの短編です)

4、

郵便局の駐車場には、数台の車と馬屋が並んでいる。
戦前石油から電気に移行しつつあった車事情も、戦争で経済の破綻と電気不足ですっかり車は姿を消していき、今ではほとんどが馬を利用している。
車は一部の配送や、金銭的に余裕のある者、そして軍や政府関係が利用しているくらいだ。

ビッグベンを、馬屋の中からサトミが連れてくる。
作業着を着たエリーは、ワンピースを入れた袋をたすきにかけてその様子を見ていた。
ベンが彼女に気が付き、ジロリとサトミを見る。

「乗員1名限定」

「ウソこけ、初めて会ったときは俺よりデカイ夫婦乗せてたくせに」
「あれは動物虐待。あいつら、お前見て逃げた」
ベンがニイッと笑う。
ムッとして、サトミが引きつった笑顔でエリーを指した。
「うるせえな。ほら可愛い子だろ、嬉しいくせに」
「お前がだろ」
サトミがため息をついて、クラを二人乗り用に変える。
怪訝な顔で、ベンがエリーをじっと見てボソッとつぶやいた。

「欲しい……」

「なにが」

「今度は可愛い馬着が欲しい」
「可愛いだ?オスだろ、おめーはよ。」
「キュートで行く」
「あー、そうですか。だいたいお前何枚持ってンだよ、この前青いので作ってやったばっかりだろうが。」
「今度はフリルを付けろ」
「フリルだあ?わかったよ!あの青いのにフリル付けてやればいいだろ」

「わかりました、御主人様と言え」

サトミが手を止め、頬をひくひくさせて目が据わる。鞍を付け終わってベンの首元をバンバン叩いた。
「さあ!準備できた。行こうか。」
「痛いじゃないか。ごめんなさい御主人様といえ」
エリーが無表情で、ベンの顔をじっと見る。
ベンがフンッと鼻息をエリーの顔に吹きかけた。

「失礼な女だな」

「だって、私のメモリーでは馬は喋らないわ。」
「偉いから話すのだ。失礼しました御主人様と言え」
「失礼しました御主人様」
素直なエリーに満足したように、ニヤリと笑い顔を上げる。
「良し、許してやる。今度からビッグベン様と呼べ」
「私はE……エリーよ、ビッグベン様」
サトミが呆れてヒョイと肩を上げ、エリーに手を伸ばした。

「さあどうぞフロイライン」

「まあ……悪くないわ」
エリーを後ろに乗せて、サトミが前に乗る。
しかしサトミの背を見て、少し驚いた様子で声を上げた。
「これは何を背負っているの?棒のような……ナイフ?なんて長いのかしら。」
「ああ、これは日本刀って言うのさ。でもいちいち相手を殺すわけにも行かないからな、電気を仕込んでる特製品だよ。
ああ、でも大丈夫、サヤは防磁シールドを完璧にしてるから。磁力や電磁波の心配はないよ。」

電気はこの仕事に就いた時付けて貰ったものだ。
防衛のためとはいえ、今は戦中ではない。彼らでも意味無く人を殺せば罪になる。
しかし日本刀に高電圧を通した時、強い磁力を持ったのでサヤにも工夫した。
荷物にはディスクなど磁力や電磁波に弱いものが多いのだ。

「そう、私も多少の電磁波は防御できるわ。それ程ボロじゃないから心配しないで。
で、私はどこを掴めばいいの?」
「俺の腰に手を回して、俺をつぶさない程度に掴まっててくれる?」

「了解……しました。乗馬バランスモードの入力にしばらく時間がかかります。ただ今ダウンロード中。」

「あれ?入力待った方がいい?」
「いいえ、ゆっくりなら現在の情報量で対処できます。」
エリーが軽くサトミの腰に手を回した。
「じゃ、行くよ。ベンの歩くリズムに合わせて」
ベンの足が数歩進む。
エリーの身体が反動で後ろに倒れ、慌ててサトミが彼女の腕を掴んだ。

「ちょっ!しっかり掴まってくれよ!」

「つぶさない程度と、しっかりの判断が付きません。ファジーに対応しますので、どのくらいか判断願います。」
エリーの手が、ギュウッとサトミの身体を締め付ける。

「げええ!死ぬ!締めすぎ!」

「あら」

慌ててエリーが手を緩め、サトミが息をついた。
なるほどやっぱりアンドロイドだ。さすがの彼女も、初めての乗馬には情報量が不足しているらしい。
「ああ、そのくらいかな。でも落ちそうになったら、もう少し力を入れていい。」
「了解、判断できます。ご迷惑をおかけします。」
ベンが振り返り、にひひと笑う。
サトミが背の刀の位置を調節し、手綱を握った。

「お手柔らかに、俺も女の子に絞め殺されるのはご遠慮するよ」

「私も人間を絞め殺すなんて遠慮するわ。ルールを破ったらリセットだもの。」
「リセットか……君達のリセットは死ぬのと同じだもんな。」
「いいえ、私は生き物じゃないわ」
「ふふ、そうだな、一応今は荷物かな。でも、あんたはちゃんと生きてる。」
サトミが微笑み、ベンを歩かせ始めた。
今度は彼女も馬のリズムを把握して、バランスをとっている。
いわゆるダウンロードが済んで、モードが変わったのだろう。

「生き物の定義って、人間によって答えが違うのは不思議ね。」

「我思う、故に我在り。戦友が自分を見失った時、良くつぶやいてたな。
俺にしてみれば、そうして俺としゃべってる、それで十分生きていると思うんだけど。
……フフ、くだらねえ話しだぜ。」
「人間って複雑だわ、私のAIではわからないことが多すぎる。」
エリーがサトミの背中に頬を寄せ、目を閉じる。

「人間なんて、勝手な奴らばかりだからな。」

背中に当たる彼女の身体は、柔らかくてほんのりと暖かい。
最新型の有機アンドロイドなのだろう、人間と錯覚してしまいそうになる。
「さて、行こうぜ!」
空を仰ぐと、すでに日も高く時間がない。
サトミが手綱をうち、ベンを急がせた。

5、

郵便局のゲートを建物の影から見張る車の中で、いかつい男3人がイライラして待っていた。1人が携帯電話を取り出し、どこかと連絡を取り始めたとき、ハンドルを握る男が声を上げる。
「出てくるぞ!間違いない、あいつだ。」
ゲートで身分証を見せ、出てくるサトミ達を電話で写真に撮り送信する。
その男達は、先ほどエリーの乗った車を追っていたあの3人組みだった。
「よし、追え」
運転席の男がうなずき、車のキーに指をかける。

コンコン

窓を叩く音に見ると、警備員が運転席の窓の向こうでニッコリ笑っていた。
気がつくと、反対側にも警備員が3人全員銃を構えている。

「早く出せ!」

慌てて男がキーを回すが、エンジンがかからない。
突然、運転席の窓を警備員が警棒でたたき割った。同時に目の前に突然現れた郵便マークの付いたアーマードスーツがボンネットに斧を突き立てる。

「うわああああ!!」

「ア、アーマードスーツ?!戦時中の?!」

「逃げようとしたな?怪しい奴!手を頭に挙げて車を出ろ!抵抗するな、命の保証は出来ない!」
「一体何の権限で!私は……」
「誰だろうと郵便局周囲の路上は許可無く駐車絶対禁止。たとえ大統領でもだ。不穏な動きをした者には、実力行使も許可されている。つまり……」

「郵便局をなめるんじゃネエ!こるぁ!」

体格の大きな警備員が、思い切りドカッと警棒でドアを叩いた。
ボッコリとドアがへこみ、突き破りそうな勢いに男達がすくみ上がる。
郵便局の警備員は容赦がないとは聞いていたが、ここまでやるとは。
すでに車のエンジンは破壊され、逃げることも諦めた3人は、ため息混じりで手を挙げた。



ロンドでも一番の繁華街をゆっくりとベンが進む。
と言っても一旦はゴーストタウン化したような街なので、いまだ残骸も残り荒れた町並みが続く。
だが最近は徐々に人も戻ってきているので、インフラも整備され徐々に住みやすい町へと姿を変えつつある。さすがにまだ治安が悪いものの通りには店が並び、人々がのんびり買い物している姿が多い。
エリーが珍しいのか、身体を起こしてキョロキョロ辺りを見回す。
振り向いて、サトミが笑った。

「珍しい?」

「ええ、外へは初めて出たの」
「へえ、最近生まれたんだ。」
「いいえ、もうずっと前からただ動いているわ。意味もなく」
「寂しいこと言うなあ。生きることに意味がないって思うのは、君が何も気がついてないからさ」
「気がついて?何に?」
問われて自分の言ったキザな言葉に苦笑する。
サトミが答えを探し、空を見上げ流れる雲を見つめた。

「君を、想う人。…って、敵の多い俺の言うことじゃねえな」

気恥ずかしそうにサトミが言って、鼻の頭をかく。
エリーが少し考え、小さく笑った。
「私を利用しようとする人ならいるけど。所詮私はロボットでしかないわ」
何を思ったのかベンが顔を上げ、サトミを見る。
サトミが目を合わせると、ベンが鼻先をクイッと路上のアクセサリー売りに向けた。

「なんだよ」
「メスは光り物が好きなのさ。」
「だからなんで?」
「メスは機嫌を取れと聖書にある。」
「ねえよ。」

フンッと不満そうに息を吐き、ベンがゆっくりアクセサリー売りの前で止まる。
エリーが美しく光を反射する銀細工に、惹かれるのか身を乗り出した。
「おっ、可愛い彼女だねー。似合うよほら、ネックレスなんかどうだい一つ。おまけするよ!」
すかさず売り子が、愛想良くエリーに指輪やネックレスを差し出してくる。
早朝市が立つこの通りには、夕方まで明るい時間帯にいろいろと路上販売が残っている。
店を持てない人々の、生活の糧だ。
見ると、路上販売にしては混ざり物の少ない綺麗な物が並んでいる。
「本物の銀だよ、いいもの使ってるんだ。開店資金集めに協力してくれよ。」

「まあ、大変なのね。」

それが本当の話かわかったものじゃないのに、エリーがしきりにうなずいている。
そのあまりにも世間知らずな純粋さに、サトミが笑って馬を下りた。
鼻頭をポリポリとかき、並ぶアクセサリーをちらりと見る。

「降りておいで」

「え?ええ」
エリーがベンから降りて、並ぶアクセサリーを2人で覗き込む。
「なんか気に入ったのある?」
「わからないわ、こんなの持ってないから。それに私には必要性がないもの。」
「まあ、必要じゃないと言ったら元も子もない物だよな。」
サトミがヒョイと肩を上げ、一つ目を惹いたペガサスの彫刻が入った美しいブローチを取った。
「これはどう?」
「そうね、ビッグ・ベン様に似てるわ」
「ベンに?!これが?」サトミ、プウッと吹き出し、彼女の胸に付ける。
「どう?」
「悪くないわ。でも、なんに使うの?」
「そうだなあ、お守り。」
「お守り?人間でもないのに。」
「まあ、神様って奴はアテにならねえけどな。気持ちの問題さ。
願掛けの、……対照?って事になるのかね。」
「ふうん、つまり、これにお願いするのね。信仰のコアと判断するのかしら。」
サトミがどう答えた物か頭をかいて金を払い、また馬に乗り込む。

「さあな、好きに判断してくれ。俺もあんたに明確な答えを出すのは頭が痛い。」

彼女に手を貸し、ベンに乗せてまた歩き出す。
「貰っていいの?」
「いいさ、俺も女の子送るなんて初めてなんだ。記念に送るよ」
「まあ、ありがとう」
エリーが胸で光るブローチを見て微笑む。
今まで身の回りの物を人間に与えられてきたけど、必要性のない物を貰うのは初めてだ。
なんだかAIが揺れる。判断がつかない、感情プログラムがじわじわと複雑に計算を繰り返す。
銀色の表面が、何か特別の輝きを放って見える。
「きれいね、うふふ。」
「うれしい?」
「そうね、うれしいって判断してるみたい。何故か初めて感じる気持ちだわ。
優しいのね、私がロボットだってわかっているのに」
「ああ。対人兵器には昔ずいぶん痛い目にもあったけど、アンドロイドにはそれ以上に世話になったからな。俺には人間とアンドロイドの垣根がないんだ。」

「それは、あなたの仕事では危険じゃないの?」

「……キケンかもな。でも、俺は……本当の俺は……」

ピクッとサトミが顔を上げる。
「付けられてる。」
ベンが振り向かず顔を上げた。
「走るか?」
「いや、エリーがまだ少し馬に慣れていない。様子を見よう」
ベンがブルブル頭を振って、フンッと鼻息を吐いた。
落ち着きながら、士気を高めている。反してサトミは、変わらぬ風情でただ真っ直ぐに前を向いて、静かにその時を待っていた。

6、

しばらく足を速めて歩くと、次第に空高くそびえる橋脚が遠くに見えてくる。
しかし橋が近いからと行って、昼間交通量が増えるワケじゃない。
橋の向こうはあまり治安の良くない場所、今でもこちら側から行く人は余程の用がなければあまり行きたくない所だ。
それでも最近は向こう側にもポリスの数が増えて、人口も増えつつある。
報道される事件も、若干減ってきたのは好印象だ。
いまだ地価が安いこともあって、移住する人も徐々に増えている。
朝と夕方ラッシュ時だけは、馬や車が増えて一気に我が家までノンストップで帰るのだ。


橋脚がどんどん近づき、やがて町並みが途切れて前方に巨大なクレーターが現れた。
それを中心に、放射状に建物が傾いているのは異様な光景だ。
最初は核ではないかと生き残った人々もパニックになったが、放射能汚染は見られないとの政府の公式発表も早く直後に終戦となった為に復興も早くに手がつけられ、人口流出は最低限に抑えられた。
クレーターはそのまま残され、大きな橋が2本造られている。
ベンが橋の入り口で突然ちゅうちょしたようにスピードを落としたが、サトミがかまわず手綱を振った。

「なんて奴だ。人生の伴侶は大事にしろとソクラテスは言った。」

ベンの声が、心なしか震える。
ベンは極度の高所恐怖症なのだ。
「誰が伴侶だよ、さっさと渡れって。エリー、橋の上は風が強いからしっかり掴まってて。少し急ぐよ。」
「ええ、苦しいときは言って下さい。」
エリーがサトミにしっかり掴まる。
背中に胸の感触が柔らかく、作り物とわかっていてもなんだか気恥ずかしい。
鼻頭をポリポリとかいて、思わずニヤリと笑った。

橋は幅がゆったりとして、2車線だが歩行者もここを通る。
通行量も少なく、今は車が数台前を走っている。
橋に入ると横風が強く、ベンが足を速めて2車線の片側を小走りに走り出した。

「ああイヤだイヤだ。」
「ベン、ちゃんと目を開けろよ。」
「高い所はイヤだってのに、今日は往復2度目だ信じられない。」
「わかったわかった、帰ったらニンジンやるから。」
「ごめんなさい御主人様といえ。」
「いいから走れよ御主人様。」
「むうう、もっと橋の幅を広くしろ。」
「十分広いだろ、安心しろよ。」

見上げると青空の中そびえる橋脚。
ベンが引きつった顔で、一つ大きなため息をつく。

「人間が作った物なんて信用できない。」
「そうだな、俺もだ。」
「落ちたらどうする。」
「大丈夫、下に水があるだろ。」
「泳いだこと無い。きっと死ぬ、死ぬ、死んだら恨んでやる。」
「ほら、もうすぐ半分だろ、がんばれ。」

後ろから、突然高回転のエンジン音が響き迫ってくる。
前方には丁度車や馬が途切れて今はベンだけが橋の上だ。
ここは隠れる場所もなく、逃げ場もない。
「やっぱりここで来たか。ベン、走れ!」

「死ぬ、死ぬ、死ぬーーー!!」

ベンが足を速め、ドンドンスピードを増して行く。
エリーが無言で苦しいほどにギュッとしがみついてきた。
「エリー、頭を下げろ!」
サトミも身を伏せ、横に並んできた車をいちべつする。

「止まれ!止まらないと撃つ!」

後部座席の窓が開き、男達が銃を向ける。

「フン」

サトミは腰から小さなナイフを取り、窓際の男に投げた。
「ギャッ!」
銃を持つ手に刺さり、思わず空へ一発放つ。
ひるんで一瞬車のスピードが落ち、その姿が後方へ消えるとそのすきに数個のボールをクラにぶら下げた袋から取り、車の前方へと放る。
そのボールはスピードを上げた車のボンネットやウィンドウに当たって弾け、真っ白な圧縮されていた液体をぶちまけた。

「な!なんだ!」
「前が見えない!うわあああーー」

ギキキキキキーー
運転手が突然広がった白の世界に、先の見えない恐怖からブレーキを踏む。しかし車はハンドルを取られ、車体が大きく横を向いてしまった。
「うわああああ!!」
「くそっ!」
後ろの席の男がスリップする車に歯を噛みしめ、サイドウインドウからエリーの背に撃つ。
サトミが瞬間に背の刀を抜き、前を向いたまま頭上で一瞬ぐるりと回転させた。

キンッ!

刃がエリーの背中で弾丸を2つに切り、弾は弾けて後方に散って行く。
サトミはそのままくるりと回してさやに刀をもどし、何ごともなく走り去っていった。
「馬鹿な!うおおお!」
車は背後で大きくスピンし、男達の悲鳴が上がる。
ガードレールを突き破りボンネットが外に飛び出した所で、ようやく止まった。


橋を過ぎた所で、ベンがスピードを落として息をつく。
「ああ、帰りもまた通るのか。」
「生きてればな。」
「占いでは百年生きる。」
「一体何で占ったんだ?」
「ひづめのしわ。」
「ひづめ占いかよ!あははは!」
エリーも身体を起こし、後ろを振り返る。
しかしサトミは振り返りもせずに、ベンの腹を蹴ってまた走り出した。


ガードレールにつっこんだ車の中からは、男達が慌てて、しかしそうっと車から飛び出し命拾いしていた。車のフロントについた白い液体は一体何なのか、遮光率が高くしかもねっとりと張り付いている。
「大丈夫か?」
「あんな物、ポストアタッカーは装備しているのかよ。まったく……」
むかついて1人が、ドカッと車を蹴った。

キイイーーガ、ガ、ガ……

「あ、あ、あ、ああ!」
反動で、微妙なバランスをとっていた車がぐらりとかしいで橋から落ちて行く。

ドボーン!

「この……バカが!」
「も、申し訳ありません!」
リーダーらしい男が怒鳴り、ヒビの入ったサングラスをポケットから出し顔にかけた。
そして上着の内ポケットから携帯電話を取りだし、電話をかけ始める。
ポストアタッカーを舐めていた自分が、どうにも口惜しい。苦々しい言葉を吐き捨てるように、電話口に言葉を放った。
「ダメだ。甘く見ていたな、かなり手強い。少佐に連絡を、それと奴の身辺調査だ。
……ああ、そうだ、相手は背後の銃弾さえ切り落とす、日本刀のポストアタッカーだ。」

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