熊本県立大学文学部で「日本語日本文学科」を専攻する女子学生15人と、川平敏文助教授ら引率3人が今月23、24の2日間、島原市の松平文庫で "書誌学" のゼミを開催。あわせて古典籍の修復・保存の技術についても学んだ。
書誌学は、古典籍を含む書籍類の形態・材料・用途・内容・成立の変遷等のことがらを科学的・実証的に研究する学問。大学では一般に歴史学で扱うことが多いが、同大学では川平助教授が長年、松平文庫に通い、同文庫史料をもとに調査研究してきた経緯があり、日本文学科の学生を対象に平成13年から島原市で課外授業としてゼミ(自由参加形式)を開いている。
川平助教授によると、学外での講義は「ほかに熊本県立図書館で毎年秋、古典籍の書誌学的データの取り方を練習している」。島原・松平文庫での授業は「その仕上げ」として実施。「ホンモノの、いい資料を見てもらい、実際に手にとって感触を含めて学んでもらっている」。
今回は、同文庫蔵書の中から文学書を中心に29点61冊・一巻の資料をもとに、23日午後、1階の島原図書館ホールで開講。はじめに川平助教授と鈴木元助教授、米谷隆史助教授が各資料について解説し、そのあと実物資料を手にして形態や材料、外題、内題、文字、裏付けなどをそれぞれ目で見ながらリストに書き込む作業をした。
学生の1人、高手明日実さん(2年)は、「古い紙の感じとかは、(授業を)聞いただけではわからないが、こうして実際に手にしてみることで把握することができる。とても楽しいし、勉強になる。もっと続けて調べてみたい」と談。川平助教授も「史料に対する距離が縮まり、古典そのものに関心を持ってくれる。大学(教室)での授業とはちがう効果がある」と話していた。
2日目は、同文庫で長年、修復の仕事に携わっている本田瑛子さんと古賀津代子さんの指導のもと、修復や裏打ち、和綴じの仕方などを実体験した。これも大学の文学部で経験することは珍しいことだが、同文庫の技術を目の当たりにしてきた川平助教授の "依頼" を受け、実現の運びとなった。
学生らにとっては、普段の授業とはちょっと変わった体験学習となったが、古典籍類が数百年を経て後世に伝えられる背景に、こうした技術と先人らの書籍に対する熱い思い入れがあることを肌で感じた様子。時折、ジョークも飛び出したりして終始、なごやかな雰囲気の中、意義ある2日間を過ごしていた。
[2007/03/01:島原新聞]
ラベル: 島原市