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白井さんの夢を乗せて!!…特注の三輪自転車旅立つ、中村さん一年かけて製作
島原外港発「フェリーあそ」が24日午前11時10分、南島原市西有家町の(株)中村輪業(中村耕一社長)が製作した特注のリヤカー自転車を積み込み、出航した。
自転車とリヤカーを結合させ、荷台部分に書棚を設置、電動アシストを備えたこの特注三輪自転車は、中村さんが昨年夏、障害をもつ東京在住の出版会社社長・白井隆之さんから依頼を受け、ほぼ一年がかりで製作。依頼者本人の障害の状況、要望等に合わせさまざまな工夫がこらされている。
この日、フェリーには受け取りのため遠路来島した白井さんも乗り込み、TBS、RKK、KTNなどテレビクルーも同伴。中村さんは外港桟橋から手を振り、二人三脚で旅立つ三輪自転車と白井さんを見送った。
「軽Car」の生みの親として知られる南島原市西有家町の中村さんは、自身の会社を「再生の場」と言う。バブル崩壊のあと斜陽化していく田舎町の自転車店を、アイデアと果敢な挑戦によって再起させ、あわせて従業員や同業者、後輩らに「田舎でもやっていける」希望を与える-。なにより家業を負う宿命の自身を再生させたいという、熱い思いがあるからだ。
軽量の小型リヤカー「軽カー」を、お客のリクエストにあわせてさまざまなバリエーションを製作するなか、これを自転車とドッキングさせた三輪自転車を考案。これに電動アシストを加えた進化型は、地球環境に配慮したエコ自転車として注目され、大手宅配業者からも採用されるに至った。
そんな中で飛び込んで来たのが、東京日本橋の燦葉出版社社長・白井さんからの注文だった。不自由な体で手提げ袋に書籍を入れ、全国を行商してきた白井さんは、「自分の力で、もっとたくさんの本を運んで、届けたい」という夢を持ち続けてきた。当初、「まったくイメージが沸かなかった」という中村さんだったが、そのうち白井さんが(東京で)自転車運転のトレーニングを始めたことを知り、奮起。「白井さんの三十年来の夢を実現させたい」一念で特注の三輪自転車製作に取り組んできた。途中、何度か視察に見えた白井さん本人の要望を受け、改良と調節を加え、このほど完成。白井さんに引き渡した。
完成品を受け取った白井さんはこの日、笑みを満面に湛えていたが、一方の中村さんは複雑な心境。「歩行者社会に生きてきた白井さんが、六十(歳)を過ぎてこれから車社会に入っていく。うまく生きてくれるだろうか。自分の製品が安全に(白井さんと本を)運んでくれるだろうか-」といった"生みの親"としての責任と心配があり、「アフターケア体制の整備をしていく課題」もあるからだ。
「これを機に同じような注文が殺到するかも-」と尋ねると、「もうイヤ、しばらく休みたい」と、本音とも冗談ともつかない言葉を吐いたが、「人のお役に立ちたい。文化は西から、田舎から-」と、かねて言い続けてきたことが一つずつ実現していく、その確かな手ごたえを掴んでいる表情にも見えた。
[2008/06/29:島原新聞]
ラベル: 南島原市, 有家町
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