世界遺産登録を目指して…フォーラム「有馬の城とキリシタン」

 島原半島のキリスト教関連遺産には「悲しみを喜びに変える精神性遺産」がある、という。「これをクリスチャン以外の人々にどれだけ理解してもらえるだろうか?」 -
 
 今月22日、南島原市のありえコレジオホールであった「地域振興フォーラムin南島原 - 有馬の城とキリシタン - 」の第二部、「歴史資産を活かした地域振興 世界遺産登録を目指して」をテーマにしたパネルディスカッションで、パネリストのひとり清水愼一氏((株)JTB常務取締役)はこう問いかけた。

 この日、第一部では日本人殉教者188人の列福で奔走した古巣馨神父(カトリック長崎大司教区司祭・列聖列福特別委員)が「有馬セミナリヨの精鋭たちが現代に問いかけるもの」と題して基調講演。佐伯徳哉氏(島根県立出雲歴史博物館学芸員)が「石見銀山世界遺産化のコンセプト - 資産の価値をいかに引き出したか - 」のタイトルで事例を報告した。その中で古巣神父は188人列福者の中の四人の日本人司祭、ジュリアン中浦、トーマス金鍔次兵衛、ディエゴ結城了雪、ペトロ岐部カスイらを取り上げ、「悲しみを喜びに変える」島原半島の"召命"的役割を次のように解説した。

 ?彼らは(島原半島にあった)有馬のセミナリヨで学び、成長し、ゆずれないものに命を捧げた。ここ(セミナリヨ)では隣人を我が身のごとく思う慈(いつく)しみ(慈悲)の心が育まれ、そのように生きる教育が実践された。彼らは「聖体の旗」(その一つは島原の乱で天草四郎が陣中旗として掲げた)の下で祈り、"造りかえられる神秘"に預かった。他人を赦(ゆる)した分、自分がそれを背負うことになるが、それは人生の賜(たまもの)になる。わたしがあるのは、この(慈悲深い)人たちが死んでくれたからと - 。そのようにして同じものがまったく違うものに、罪深い人が命ある人に造り変えられる。それは、平和はこのようにして生まれる(作られる)のですよというメッセージでもある。有馬の地は日本が、世界が必要としているものを、そっと差し出している。これを掘り起こし、光を当てるときが、いま。これ(こそ)が島原半島が世界に発信する世界遺産です」 - 。

 佐伯氏は石見銀山(島根県)の世界遺産登録で、ひとたび登録延期の勧告を受けながら逆転劇を演じたその舞台裏を解説。「価値を明確にするための調査・研究を考古学、文献学、石造物・民俗学、歴史街道、さらには科学的にとあらゆる方面から取り組んだ。国内外の類似遺産の比較研究を行なうためアジアに出掛けた。海外の人々に訴え認めてもらう活動にも力を入れ、世界が抱える諸問題 - たとえば環境問題 - にどう応えていくか、石見銀山は自然と調和しながら生産活動を行なっていたことなども盛り込んだ。これが奇蹟の逆転勝利に結びついた」などと述べ、普遍的価値を明示しPRすることの重要性を説いた。

 これに関連し古巣神父は、「最初、島原半島のキリスト教関連遺産は(リストに)入っていなかった。ところが長崎の教会群だけではだめだという思いがあり、(明治期より)200年遡って関連遺産が追加された」と説明。佐伯氏は、「教会群とキリスト教関連遺産の関連性で(価値を)説明していくなら、島原半島の - とくに島原の乱の - 役割は大きい」。「資産を活かす一本のストーリーを提示することだ。いま世界は(最後の壁として)宗教間の対立が激化している。そうした人類史的課題に示唆を与えるものがある」と、島原半島を中心とした一連の歴史(キリシタン史)に秘められた"世界遺産"性を先見的に提示した。
 
 そこで発せられたのが冒頭の清水氏のことばだ。たしかに現時点での住民らの理解は進んでいない。この日、会場に空席が目立ったのもそのことを象徴していた。パネルディスカッションで司会役をつとめた今泉道雄氏(地域総合整備財団振興部長)は、何度かこの事案を問いかけ、各氏がこれに応えるかたちで意見を述べた。

 その中で大石一久氏(長崎県文化振興課課長補佐)は、有馬セミナリヨで学んだ四少年使節の世界史的偉業、「国家(人間)と宗教 - その精神性(平和・自由・祈り)を問いかけるものがある島原の乱」を上げ、「キリシタン史を再考していく必要性を痛感している」。「各分野ごと専門家が関わり、中央の研究者をいかに巻き込んでいくかも課題」と - 。岡部まりさん(加津佐町出身、タレント・エッセイスト)も「パールバックの『津波』(島原大変を題材にした作品)、遠藤周作の半島のキリシタン史に関する著作などを上げ、「自分が生まれたところが世界遺産になる意義を感じる。一緒に学んでいく空間が必要だ」などと住民の立場で前向きに発言した。

 コメンテーターとして登壇した松島世佳市長は、「お話を聞けば聞くほど大変な仕事だということが分かる。かたちのないものを如何に形にし、(住民や世界に)分かるように情報を発信していくかが課題。逆風もあるが、ファイトも沸いてくる。登録に向って住民とともにがんばりたい」と総括。課題の大きさを認識しながらも、自ら登録推進のリーダーとして率先する決意を語った。

[2008/11/29:島原新聞]

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白井さんの夢を乗せて!!…特注の三輪自転車旅立つ、中村さん一年かけて製作

 島原外港発「フェリーあそ」が24日午前11時10分、南島原市西有家町の(株)中村輪業(中村耕一社長)が製作した特注のリヤカー自転車を積み込み、出航した。

 自転車とリヤカーを結合させ、荷台部分に書棚を設置、電動アシストを備えたこの特注三輪自転車は、中村さんが昨年夏、障害をもつ東京在住の出版会社社長・白井隆之さんから依頼を受け、ほぼ一年がかりで製作。依頼者本人の障害の状況、要望等に合わせさまざまな工夫がこらされている。

 この日、フェリーには受け取りのため遠路来島した白井さんも乗り込み、TBS、RKK、KTNなどテレビクルーも同伴。中村さんは外港桟橋から手を振り、二人三脚で旅立つ三輪自転車と白井さんを見送った。

 「軽Car」の生みの親として知られる南島原市西有家町の中村さんは、自身の会社を「再生の場」と言う。バブル崩壊のあと斜陽化していく田舎町の自転車店を、アイデアと果敢な挑戦によって再起させ、あわせて従業員や同業者、後輩らに「田舎でもやっていける」希望を与える-。なにより家業を負う宿命の自身を再生させたいという、熱い思いがあるからだ。

 軽量の小型リヤカー「軽カー」を、お客のリクエストにあわせてさまざまなバリエーションを製作するなか、これを自転車とドッキングさせた三輪自転車を考案。これに電動アシストを加えた進化型は、地球環境に配慮したエコ自転車として注目され、大手宅配業者からも採用されるに至った。

 そんな中で飛び込んで来たのが、東京日本橋の燦葉出版社社長・白井さんからの注文だった。不自由な体で手提げ袋に書籍を入れ、全国を行商してきた白井さんは、「自分の力で、もっとたくさんの本を運んで、届けたい」という夢を持ち続けてきた。当初、「まったくイメージが沸かなかった」という中村さんだったが、そのうち白井さんが(東京で)自転車運転のトレーニングを始めたことを知り、奮起。「白井さんの三十年来の夢を実現させたい」一念で特注の三輪自転車製作に取り組んできた。途中、何度か視察に見えた白井さん本人の要望を受け、改良と調節を加え、このほど完成。白井さんに引き渡した。

 完成品を受け取った白井さんはこの日、笑みを満面に湛えていたが、一方の中村さんは複雑な心境。「歩行者社会に生きてきた白井さんが、六十(歳)を過ぎてこれから車社会に入っていく。うまく生きてくれるだろうか。自分の製品が安全に(白井さんと本を)運んでくれるだろうか-」といった"生みの親"としての責任と心配があり、「アフターケア体制の整備をしていく課題」もあるからだ。

 「これを機に同じような注文が殺到するかも-」と尋ねると、「もうイヤ、しばらく休みたい」と、本音とも冗談ともつかない言葉を吐いたが、「人のお役に立ちたい。文化は西から、田舎から-」と、かねて言い続けてきたことが一つずつ実現していく、その確かな手ごたえを掴んでいる表情にも見えた。

[2008/06/29:島原新聞]

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住民参加の具体策を提案…ありえ地区まちづくり協働プラン、マップの作成に取り組む

 南島原市有家地区のまちづくりのあり方について話し合ってきた「ありえ地区まちづくり研究会」(森永隼人会長、メンバー22人)が「ありえ地区まちづくり協働プラン~ぃぃまち ぃぃひと ぃぃありえ を目指して~」を策定し、10日、松島市長に提出した。

 県が市町の行うあたらしいまちづくりに対し景観や都市計画、福祉など幅広い視点から支援することでにぎわいと安らぎのある地域環境を創出し定住人口の促進や交流人口の拡大を図る「にぎわい・やすらぎのまちづくり推進事業」で平成19年度から取り組んでいるもので、これまでに5回の研究会を開いたのをはじめ、自由参加の住民ワークショップ6回や小学生対象の出前ワークショップ2回、成人式などでのアンケート調査2回を行い、延べ600人が参加。まちの魅力を再発見したり課題を抽出したりするなど、児童からお年寄りまで広く意見やアイデアを募ってきた。

 同プランは、そうめんなど地場産業や古い町並み景観やキリシタン遺跡などの文化遺産などを活かし、美しい町並みの保全と体験型観光の推進により交流人口の拡大を図るとともに、まち全体が家族のように温かく安心・安全で笑顔に満ちあふれるまちを目指すという10年後のまちの将来像を設定し、それを実現させるために▽みんなが家族の人づくり▽自然と調和した美しいまちづくり▽産品を活かしたまちづくり▽歴史と伝統文化を活かしたまちづくり▽子どもからお年寄りまで安全安心に暮らせるまちづくり-の5つの目標を設定。

 それぞれの目標ごとに▽住民参加のまちづくりアイデアコンテストを開催する▽ポイ捨てをなくし、まちに不調和な看板などの規制により美しい景観を保全する▽そうめん料理コンテストなどを行い特産品の開発とPRを図る-などと10年間の取り組み方針を示し、住民参加の具体策を提案している。今後は、活動主体として「ありえ地区まちづくり倶楽部」(仮称)を設置し、実作業部隊として「私たちのふる里を『美しくし隊』」(仮称)などを結成し、まちの資源や現状などを把握しマップの作成に取り組むことに。

 この日夜、ありえコレジヨホールであった本年度第1回ありえ地区まちづくりワークショップには約35人が参加。同プランの概要の説明に続き、森永会長が「プラン策定までに有家の魅力を再発見し、課題も見つかった。これからまちづくりの実践にとりかかるが、一人でも多くの方々に参加してもらうとともに、市全体に広がることを願いたい」とあいさつ。森永会長から同プランを受け取った松島市長は「良いふるさとにしようという皆さんの思いを行動に移し、さらなるまちづくりを進めてほしい」などと期待を込めた。

 なお同事業では県内で平成18年度から本年度までに10モデル地区が選ばれ、うち島原半島では平成18年度に雲仙市千々石地区、平成20年度に島原市アーケード商店街周辺地区の計3地区が選定されている。


[2008/06/12:島原新聞]

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個性的な優秀作が増える…第七回セミナリヨ版画展始まる


 南島原市・同教育委員会主催の第七回セミナリヨ版画展が15日(土)開幕。同日午前10時からオープニングセレモニーが会場のありえコレジヨホールであり、入賞者の表彰式、テープカットなどがあった。

 400年ほど前、有家にあったキリスト教教育施設セミナリヨで、日本人神学生の手によって銅版画がはじめて制作された。その偉業を地域の文化遺産として記念し、あわせて町おこしの一環としてスタートしたのが同版画展。今回、九州・沖縄一円から計6499点の応募があり、開幕式には入賞者50人と小中学生入賞者らの保護者、来賓、審査員、報道関係者ら約150人が出席。小学生、中学生、中・一般の各部門ごと入賞者に表彰状と記念品が贈られた。

 岩本公明同市副市長(松島市長代理)は、同版画展の意義と「今回、昨年より1630点多かった」ことなど状況を伝え、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産の世界遺産を目指すプロジェクトの一つとして(位置づけ)、継続していきたい」と強調。審査員を代表して版画家・小崎侃氏が入賞作品について講評した。

 氏は、「回を重ねるごとに出品数が増え、入賞・入選が厳しくなっているが、それだけ優秀な作品が寄せられている」とし、セミナリヨ大賞に輝いた辻脇真梨子さん(西海市立西海小学校六年)の『自然共有』は、「大きな木を根っこから見上げる視点がおもしろいし、広がりが感じられる。木の丸みの表現もいい」。中谷裕介君(長崎市立神浦中学校二年)の『学校と木』は「黒の木と空の白、そして背後の校舎の中間色の対比、校舎を(空に向かって)いびつにしたところがいい」などと解説。「長年(版画を)やっていると技術が先走りする傾向があるが、初心を忘れないことの大切さを教えられる。地元の人たちの個性的な作品も多く(展示してある)、子どもたちの作品を見てほしい」と述べた。

 このあと、審査員の小崎氏、佐藤宗利氏、生駒輝彦氏、それに岸本副市長、菅教育長の5氏でテープカット。オープンを祝った。

 会場には入賞・入選作品のほか、審査員三氏の作品等も展示。小崎氏のコーナーには、「眉山」や「早春の平成新山、「新緑の平成新山」、「トロッコ列車と平成新山」、「大崎鼻から平成新山」など島原半島にちなんだ作品が多数並べられ、版画の妙味にふれることができる。23日(日)まで。

[2008/03/16:島原新聞]

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松島市長が激励賞を贈る…頑張れ!!新切少年ソフトクラブ


 28~30日に鹿児島県南九州市で行われる九州小学生ソフトボール選抜大会への出場を決めた南島原市有家町の新切少年ソフトボールクラブの選手らが11日夕方に市役所を訪れ、松島市長に出場報告をした。

 同クラブは毎日夕方から投光機を頼りに2時間半練習に励み、守りを得意とするチーム。昨年9月に島原半島大会で代表権を獲得して10月の第18回小学生ソフトボール選抜大会県大会に出場し、芦辺レッドパワーズ(壱岐市)や聖マリア学院(長崎市)をそれぞれ5-2、6-0で破るなど、見事に3位に入賞し九州大会へのキップを手にした。九州規模の大会は昨年7月の大会から連続出場となった。

 この日、選手24人のうちキャプテンの林田景太君ら4、5年生10人と林田憲明監督らが訪れて県大会などの戦績を紹介し、林田主将が「県代表として恥のないようプレーをし、優勝を目指して頑張りたい」と抱負。松島市長は激励費を手渡して健闘を祈った。

 なお、平成26年開催予定の長崎国体を見据えた強化選抜会に同クラブからは林田キャプテンをはじめ林田竜弥、苑田侑馬、苑田大輔、林田伸二君の5人が参加することになっている。

[2008/03/14:島原新聞]

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多比良が優勝 - 西日本小学生ソフト県予選 -

 第9回西日本小学生ソフトボール長崎県予選が9、10の両日、有家総合グランドなどで開催され、地区予選を勝ち抜いた18チームが出場して熱戦を展開した。

 優勝した多比良少年ソフトボールクラブ(島原半島)と準優勝のKSDソフトボールクラブ(佐世保市)は7月28-30日、香川県丸亀市で開催される本大会に出場する。

[2007/06/12:島原新聞]

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