桜がちる夜に

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更新日 2018-05-20 | 作成日 2018-05-20

4、

昼も過ぎ、日も高くなってきた頃、遠く砂煙が見えた。町に近いのか、定期便らしい馬車のようだ。
カインはどこも、道無き道で案内板を捜すのにも一苦労する。よってGPSは旅の必需品だ。GPSは衛星からの情報発信も見られるので、行く先の天気も気温状況さえわかるようになっている。
持っていなければコンパスに地図とアナログな方法で、そして人に聞くしかない。
カインは財政難から地方の水道電気のインフラは遅れているが、こういう衛星などを使った情報管理は軍が率先して行うので発達しているのだ。

馬車の行く手を見ると、大きな山の麓にちらほらと小さな家が見えてきた。
ようやく町に着いたらしい。
他にも旅人の馬が見えて、山越えの前に立ち寄る場所なのだろう、ここは活気のある町のようだ。
突然、懐かしくさえあるエンジン音があたりに響いた。
ブオオオオ……
背後から大きなトラックが、砂煙を上げて走ってくる。
ベリーが振り向くと、なぜか車が大きくハンドルを切ってこちらに近づいて来た。
滅多に聞かない車のエンジン音に驚いたのか、ブランカが足どりを乱し大きく頭を振る。
「ブランカ落ち着いて。大丈夫。」
手綱を引いて、足を止める。
フェザーも並んで止めて、砂煙を避ける振りをしながら顔を隠すように、コートのフードをかぶった。

ブオン、キキキキ

軋んだ音を立て、大きなトラックが横に止まった。
「よう、うおっ!こりゃすげえ、見ろよやっぱり美人だ。あっはっはっは、俺のカンも冴えてやがる!」
ベリーを見て豪快に笑い声を上げ、赤毛のヒゲを蓄えた男が助手席から手を出し、バンッとボディを叩いた。
「いい馬だな。ずいぶん長旅のようじゃないか。あんたらも、あの温泉宿に行くのかい?あそこの湯はいいぜ!俺たちもあの町に荷物を届けるのさ。」
「オンセン?」
初めて聞く言葉に、ベリーがフェザーの顔を見る。
「なんだ温泉も知らねえのかい?風呂だよ、風呂!いい湯があるんだ。もう少し行けば、湯気が上ってるのが見えるよ。このしけたカインの、貴重な楽しみも知らねえとはね。
そっちのねえちゃんも、肌がツルツルになるぜえ!」
男が窓から身体を乗り出し、フェザーの顔を見ようと覗き込む。
小柄のフェザーの後ろ姿に、女性と間違ったのだろう。
ムッとしてフェザーがちらりといちべつしたとき、男とふと目が合った。
男の目が、驚いたように見開く。
フェザーがプイと顔を逸らし、馬を歩かせた。
「おい、行くぞ。」
運転席の黒髪のムスッとした男に促され、赤毛の男が「ああ」と席に座った。
「じゃ、じゃあな、町で会おうぜ。今夜飲みに行こう。」
手を振って、爆音を上げ車が走り去る。
真っ黒の排気ガスが風に乗って2人を襲い、馬たちが嫌がって横に退けた。
「わっ真っ黒!もう、ひどい排気ガス!やんなっちゃう。」
ベリーがゴホゴホ咳き込みながら、風上へと逃げる。フェザーはしかし、馬上から遠く後方から近づいてくる馬車に目をやっていた。
それは幌付きの大きな馬車数台のまわりに馬やサイドカーも並行して走らせ、大所帯のようだ。
大きく回り込んで、町には寄るつもりが無いのか町の後方に広がる山に向かっているように見える。
「……あの、オートバイどこかで……」
見たような気がする。
遠目ではあるが、車体をグリーンの迷彩に塗り立て、側車にはボンネット上に緑のカバーがこんもりと乗っているが、あれは機銃じゃないだろうか。
軍か?いや、軍なら馬車は使わない。
カインで貴重な燃料も、軍には優先的に回されている。
キャラバンの護身用か?
彼も外地に出ることが大多数の日常生活のなか、2度出会うこともあるだろう。
「フェザーどうしたの?」
「いや、なんでもない。」
「早く行こ!僕お腹空いちゃったよ。オンセンってのにも興味あるし。」
「うん。」
ベリーはひどく興味を持った様子で、ウキウキ馬を急がせる。フェザーは何となく嫌な予感がして、フードを深くかぶりなおした。


トラックでは急に無口になった赤毛の男に、黒髪の男が怪訝な顔をして話しかけた。
「どうした、もう一人は化け物だったか?」
「ふーむ」
赤毛の男がバリバリと頭をかき、息をつく。
「そうさな、化け物並みだな。」
「へえ、そんなひでえ顔か。」
「ああ……昔バアさんが、悪い物だと思ったらそりゃあ魔物の化身だって言っていたが、確かにそうだ。」
「なら、荷物を下ろしたら酒でも飲んで、酒の神様に助けを頼むんだな。」
「きっと悪酔いするぜ、見ればお前もそう思うさ。」
「くだらねえ」
男は鼻で笑ってアクセルを踏んだ。

5、

その町は、山間のふもとの森を一部切り開いて山肌に沿うように広がっている。
最近偶然見つかった温泉を活用して観光に力を入れ、カインでも珍しい魅力を備えているからだろう。多くが旅のほとんどを馬や馬車、徒歩、そして数少ないバスの定期便と言ったのんびりした、返せば長い旅路で疲れ切った人々を癒やしてくれる。
大きく左右に広がる山を越える人々も、これから越える人は活力をつける為に。そして越えてきた人は身体を癒やす為に、ここでしばし過ごすのがこのへんでも有名になっているらしい。
外地に出ることはあるが、観光とは縁遠いフェザーも、全く知らない場所だった。


2人も町に入り、馬を下りてメインストリートを歩いて行く。
なるほど男が言ったとおり、町は中心部の裏手から湯気が上がり、旅行者も多く宿が沢山並んで繁盛しているようだ。
表通りには店がずらりとひしめき合い、はしゃぐ女性客の歓声も聞こえてきた。
「なんか、みんな楽しそうだね。」
「うん。」
あまりに明るい雰囲気に、場違いな気もしてフェザーがフードをかぶったままうつむいて歩く。
ベリーも軍の人間がいないか素早く視線を走らせ、そして早く町を出ようとオンセン探検は諦めた。
「早く肉を売って、買い出しして町を出ようか。」
「うん。」
ハナからここで、観光気分を楽しむ気はない。
人の目にさらされるには、2人の容姿はあまりにも目立つ。
ベリーは並ぶ食堂の中でも、大きいフロアーを持つ繁盛している店を選び、裏手に回ってドアを叩いた。
勢いよくドアが開き、下働きの10歳前後の少年がたわし片手に怪訝な顔をする。
「こんにちは。」
ニッコリ、ベリーが最高の微笑みをたたえる。
少年は彼の優しく穏やかな笑みに釣られて微笑み、たわしを置いて前掛けで手を拭いた。
「えと、なんでしょうか?」
「狩りをした肉を買って欲しいんだけど。親方はいらっしゃいますか?」
「ああ、買い取りだね。ちょっと待って。」
少年が厨房の奥へ行きシェフの1人に話しかけ、そしてドアの向こうへ消える。
厨房は昼の忙しい時を過ぎ、やや落ち着いて片づけ物や夜の仕込みをしているようだ。
目があった青年が、ベリーの可愛らしくもある容姿に、赤い顔をしてぺこりと頭を下げる。
やがてドアからはやや太った老年の婦人が、険しい顔で少年を引き連れ出てきた。
ジロリとベリーの顔を見て、フムと腕を組む。
「私がオーナーだよ。売りたいってのはあんたかい?で、肉は?」
「はじめまして、マダム。肉はこちらに。」
大きな麻袋を出すと、少年が急いで木箱を持ってくる。
「ありがとう、坊や。」
「ううん、手伝うよ。」
麻袋から肉を出し、木箱に並べると婦人が座り込んで肉を確かめる。
「この色はリークだね。弾の種類は?」
「いえ、ナイフです。毛皮はこちらに。」
毛皮の切り裂いたあとを広げて示し、たたんで横に置く。
「へえ、急所を一発で?たいしたもんだ。
キズは少ないし、ずいぶん手慣れた解体だね。皮も綺麗な仕上げだ。」
婦人は立ち上がってベリーの顔を見ると、アゴに手を置いた。
「あんたが捕ったのかい?失礼だが女性?」
「いえ、僕の同行者です。僕はこれでも男なんですよ。」
明るく笑ってみせる。しかし、何故かベリーはこの婦人が一目で気に入っていた。

誰かに似てるな……

何となくそう思う。容姿ではなく、雰囲気が。
「ほう、大したモンだね。罠でもはったかい?」
「いえ、僕の相棒はナイフの名手なんです。」
「ふむ、……わかった、買い取ろう。この毛皮も一緒にいいかい?若いリークだ、ナイフキズ以外にキズがない、いい毛皮だよ。」
「もちろん。喜んでマダム、その方が助かります。お好きな金額で構いません。」
キョンと婦人も顔を上げる。
ずいぶん媚びない物売りだ。
出来るだけ高く売りつけようとするような、うんざりする奴も多いというのに、なんとまあ清々しい青年か。
クスリと笑う、日頃笑うことも少ないオーナーのその顔に、かたわらの少年が驚いて目を丸くした。
「あんたたち昼食は?」
「いえ、まだです。これから食べ物を買って出発しようかと……」
「金を用意するから、大食いじゃないなら食べて行きな。クリス、店の方へ案内しな。」
「え?あ、はい。」
「金を渡すから、角の目立たない所にするんだよ。まあ、それでも目立つだろうがね。」
「え?僕、そんな目立ちますか?」
ベリーが頬を両手で押さえ、キョロキョロ表の道を見る。
「見えるね、たっぷりクリームソースかけた美味そうなカモさね。もう一人はどこだい?」
婦人の冗談に、厨房からプウッと吹き出す声が聞こえる。ベリーもクスッと笑い返し、フェザーの方へ手を挙げた。
「フェザー!こっち来て!」
フェザーは首をかしげ、何か不都合でもあったのかとやってくる。
「なに?」
「こちらがオーナーだよ、食事を頂けるって。」
「ふうん」
なんだとフェザーは気のない返事。
「お前さん、失礼だろう。フードを取りな。」
フードで顔を隠すようにしている彼に、婦人がムッと声を上げた。
「あ、ごめんなさい。ほら、フェザーったら!」
ベリーが慌てて彼のフードを倒す。
「あら」
しかし中から現れた美しい顔に、はじめて見る者達は目を丸くして見入った。
「まあ」
さすがの婦人も声が出ない。
「あの、馬はどうしましょう。」
「……裏に預かり小屋があるから、心配なら金出して預けてくるんだね。クリス。」
「……」
「クリス!ボーッとしてるんじゃないよ!」
「あ、ああ、はい。どうぞ、どうぞ案内します。」
「ありがとう、助かるよ。」

6、

ブランカとノワールを馬の預かり小屋に預け、クリスの案内で店に入る。
オーナーに目立つと言われたのが気になって、2人とも顔を隠すようにまたフードを立て一番奥の角に壁を向いて座った。
店は広いフロアーで、沢山のテーブルがあるのだが今は食事よりもお茶を楽しむ人が多いようだ。遅い食事を取る人は、やっとたどり着いたのか、それとも仕事で遅くなったのか、ずいぶんと疲れた様子で食事と共にまだ日も高いのに軽く酒を飲んでいる。
ベリーは前の主が食事の時に良く酒を飲んでいたのを思い出し、小さな声でささやいた。
「フェザー、お酒飲みたい?」
フェザーは軽く頭を振って、息をつき目を閉じる。
ベリーはその姿に、心配になって覗き込んだ。
自分は久しぶりに研究所を出て解放された気もするが、旅立ってから一度も宿で休んでいない。
身体を洗うのも、たまに行き着いた川で冷たい水に入るくらいで、夜はシュラフに入って交替で眠る。雨の日は小さなテントでやり過ごし何も問題はないようでいて、それでも最近は夜の寒さが厳しくて熟睡できない夜もある。
考えてみれば最悪の体調からスタートしたフェザーは、何も言わないが本当は身体が厳しいのかも知れない。
「疲れた?やっぱりここで一晩休む?」
「大丈夫だよ、ベリーの方が疲れてない?」
「僕は普通の人間より強いから。慣れたら大丈夫。」
「そう、ならいいさ。」
「具合が悪いときは、ちゃんと言ってね。」
「うん」
フェザーの手を、テーブルの下でギュッと握る。
ベリーは、少し気がかりで仕方がない。
フェザーは生活する上で必要なことはしてくれるので問題はないが、いつもぼんやりしてサスキアにいた時のような生気がない。
どこか、2人でいても見ていると荒野にただ1人でたたずんでいるような、そんな気さえする。
「フェザー、ね。」
「なに?」
「寂しい?僕と一緒じゃ心が寒い?」

心が……寒い……

首を振り、そして彼の手を握りかえす。
心は、ずっと寒かった。
グランドの気持ちが、自分に向いてないと知った時から。
頼れる人を無くして、何もかもどうしていいのかわからない時にダッドが救ってくれた。
でも、もう2人は関係ない場所にいる。
あれほど1人が恐かったのに、本当に足下が崩れてみると真っ白になってしまって何も感じない。
失う物を無くして、でも生きる為に何かを捜す。
そんな旅のような気がする。

何か、何か、何か……心を埋める何か。

捜さなくちゃ。
生きて行く為に。強くなる為に。


「お待ちどう様。」
先ほどの少年が若い女性と一緒に、厨房から直接料理を届けてくれた。
「さあどうぞ、美味しいよ。親方が張り切って作ってたから。」
「わ、ほんとだ。美味しそう。」
ベリーが見て、顔をほころばせる。
金色に光るコンソメの、野菜が沢山入ったスープ。そしてこんがり焼いたポークソテーには、とろりとクリームソースがかかっている。
おまけにサラダの盛り合わせとずいぶんごちそうだ。
「ごちそうだね、フェザー頂こうよ。」
「ん」
少し、気が引けながらナイフとフォークを手に取る。
久しぶりの食事らしい食事に、ベリーはウキウキしながら食べ、フェザーはいつもと変わらずモソモソ食べる。
やがてオーナーがやってきて、向かいの椅子に腰掛けた。
「美味しいだろう?」
「ええ、とっても。久しぶりのごちそうです、助かりました。」
ニッコリ、ベリーが微笑む。
「おや、旅の途中で町には寄らないのかい?」
「ええ、町では買い出しくらいで、それで十分ですから。」
「ふむ。……ああ、これ代金だよ。こちらの言い値でいいのかね?」
ベリーがフェザーの顔を見る。
しかし彼は無言でうなずき、黙々と食べるばかりだ。
「ええ、けっこうです。」
「買い叩かれることもあるだろうに、もう少し欲を出したらどうだい?」
「いえ、どこの村にも事情があるのはわかりますから。だからお金が少ない時は、水や作物を分けていただくのです。」
「ふうん、ならいいんだけどね。」
ベリーはお金を確かめて、オーナーに手を合わせニッコリ微笑み頭を下げる。
「こんなに頂いて助かります。本当にありがとうございます。」
「いや、それでも安いと思うのだけど。…………どうだい?うちの宿に泊まっていかないかね?馬屋の隣に宿があったろう?そこも私がやってる宿なのさ。ここへ来て、湯にも入らないなんて詐欺だよ。泊まってお行き。」
「え?でも……これ以上は頂きすぎです。」
「いいじゃないか。私がいいと言ってるんだよ。」

どうしよう……
これが逃避行でなければ、快くお受けできるのに……

ここはあまりにも人が多すぎる。
フェザーに聞いても、判断は自分にゆだねられるに決まっている。
フェザーはしっかりしているようで、自分の意志がほとんど表面に出ない。クローンに似ていると思ってはいたが、ここまで自分を殺すとは一緒に暮らして心底実感した。
だからこそベリーは自分がしっかりしなければならないのだが、彼も主に従うのがクローンとしての基本精神だ。判断をするのは不慣れとしか言いようがない。
悩みあぐねて答えに窮していると、オーナーがフムと腕を組み、身を乗り出してきた。
「どうも、お前さんたちは他に理由があるようだね。しかし、私は気がかりなんだよ。私もこの商売長くやってるとね、わかるのさ。
お前さんたち、ずいぶん疲れているはずだよ。旅に出てから一度くらいベッドで休んだのかい?」
「……い、いえ、ずっと野宿で……」
うつむき小さな声で返すベリーに、オーナーが溜息をついた。
「人はね、疲れがたまると心に余裕が無くなっていくよ。2人支え合っても、このままじゃグラスをじかに合わせるような物、いつか割れる。
間には必ず新聞一枚でもいい、クッションが必要なんだ。休んでお行き。タダが気になるなら、格安でサービスするさね。
宿は身体だけじゃない、心も休ませる所さ。
2,3日、ゆっくりしてお行き。」
ベリーがそっとフェザーを見る。
彼は、人ごとのような顔でキョトンと成り行きの結果を待っている様子だ。
「フェザー、どうしようか?」
一応聞いてみた。
「俺はどうでもいい。」
やっぱりね。
ベリーが小さく溜息を漏らす。
目を閉じ、心を決めて顔を上げた。
「僕たち、実は……軍から逃げているんです。」
きっぱりと告げるべりーに、フェザーが目を丸くして彼の顔を見る。
初対面の人間にここまで心を許すのか、口の重いフェザーには信じられない気持ちだった。

なんて、なんて簡単に人を信じることができるんだろう…………
自分には、到底出来ないことだ。

オーナーは、驚いた様子もなくわかったようにうなずく。そしてニッコリ微笑んだ。
「わかった、ならば丁度いい。軍の人間は数軒先の違う宿が常宿になっている。そこの主人は父親が軍上がりでね。
しかし、うちも泊まりに来ないとは限らない。だから一番目立たない部屋を用意させるよ。それで良かろう?」
「え、ええ。それなら……ね、フェザー。」
パッと明るい顔で手を重ねるベリーに、フェザーがどう返したものかオーナーの顔を見る。
「……信じて、いいのだろうか……」
表情もなく力のない声に、オーナーがクスリと笑った。
「ホホ、なんて気のない声だろうねえ。せっかく綺麗なのに笑ってご覧よ、もったいない。
さて、信じる信じないは自由さね。でも私の気まぐれは真剣だよ。護ると決めたら護る。」
「護る?何を?」
「そりゃあんた達をさ。フェザーさんて言うのかい?あんたも、たまには息を抜いてベッドに横になるんだね。そんな何もかも信じられないような顔してないでさ、人をたまには信じても損はしないよ。」
オーナーの言葉に、フェザーが視線を落とす。
そんなに人を信じないような顔してるんだろうか。隣でベリーが微笑みかけ、そしてうなずいた。
「じゃあ、よろしくお願いします。」
「ああ、何日でもゆっくりしておいで。」

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